相続トラブル事例~兄弟がもめやすい考え方の違い~【ベリーベスト法律事務所監修】

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相続 姉妹 寄与分

葬儀後に始まる相続手続き。

中でも、財産の相続についてはわからないことも多い中で手続きの期限が決まっているため、不安や負担を抱えてしまいがち。

今回は、全国規模で法律事務所を構える「ベリーベスト法律事務所」で相続手続きを担当している田渕朋子弁護士監修のもと、相続でもめる事例とその解決方法や費用・期間について詳しくご紹介します。

姉妹が法定相続に不満がある場合の相続相談事例

長女(2人姉妹)

家族構成:長女が母と料理屋を営みつつ長年同居。長女は独身。父は早くに死亡。

次女は結婚する際に援助資金としてまとまったお金500万円程度を母から受け取っていることもあり、法定相続分通りに分割するのは避けたい。

財産は2000万相当のお店兼自宅の不動産と現金が1500万円程度。

姉妹 相続 寄与分 家系図

相談内容

長女として女手一つで育ててくれた母を支えるために、給与ももらわず母と店を支えてきて、嫁いでしまった妹とは違って婚期を逃しましたが、後悔はしていません。

母が体調を崩してからは、嫁いだ妹は、母の看病や介護もなかなか手伝ってくれる時間がなかったのかあまり顔も出してくれず、母の収入源でもあったお店のきりもりと母の介護・看病はそれなりに心身ともに大変でした。

母の葬儀なども私が行い、お店の事業も継承しました。

このため自宅兼お店になっている不動産は私が相続し、現金については妹と折半したいが、妹は財産の総額の半分を主張してきて困っています。

こんな時、どんな解決方法があるの?

調停申し立て

今回のケースは、次女が被相続人であるお母様から生前に現金を受け取っている「特別受益」と、長女が家業に従事していたという「寄与分」がありますので、特別受益と寄与分を加味した、修正された法定相続分により遺産分割が行われるという、イレギュラーな要素がある遺産分割です。(特別受益など専門用語については文末で解説します)

このため、あまり法律に明るくないご姉妹だけでは話が難航している事例です。このように話し合いが難航した場合は調停申し立ての手続きを選ぶのも1つの選択肢です。

調停申し立てとは、一言でいうと「家庭裁判所が相続人の間に入って行う遺産分割の話し合い」です。

相続人同士での遺産分割協議がうまくまとまらない今回のようなケースの場合に遺産分割の調停申立を相手方の最後の住所地を管轄している家庭裁判所に行う手続きです。

「調停」や「申し立て」と聞くと、身構えてしまいますが、相続人同士が納得の上で合意できるように家庭裁判所が仲介役をしてくれるので当事者同士で解決の糸口が見えないまま、事態が深刻化する前に知っておきたい選択肢です。

尚、調停で決まった事項は調停調書に記され、法的な拘束力があります。このため、後々のトラブルを防ぐ効果もあります。

手続きの流れの概略は以下の通り。

[1]家庭裁判所に調停申立書を提出*手数料納付
(調停申立書が適法に受理されると、第一回期日の通知とともに相手方に送られる。)

[2]調停期日に出頭

[3]調停の成否(成立の場合は【4】、不成立の場合は【5】

[4]調停調書の作成

[5]審判手続きに移行(調停がまとまらない場合)

弁護士に相談する

調停を行うにしても、相談者である長女の主張を通すにはどのような解決手段を考えればいいのか?妥当な分割手法は?などを弁護士に相談してみるのも1つの選択肢です。

弁護士に依頼すると

  • 相続対象の財産や相続人の調査を依頼できる
  • 相続財産の分け方についてアドバイスが得られる
  • 弁護士が相談者の代理人となり、他の相続人と直接話をしなくてもよくなる

などのメリットがあります。

弁護士に依頼したら期間と費用はどのくらいかかる?

  • 費用:25万円~50万円
  • 期間:6ヶ月~1.5年
※ベリーベスト法律事務所の場合を参考にしています。
※初期費用のみの金額となります。事件終了時には、依頼者の方が取得された経済的利益に応じて報酬金がかかります。

相続で知っておきたい知識

特別受益

特別受益とは、亡くなった人(被相続人)が、生前に特定の法定相続人に婚姻、養子縁組、生計の資本として贈与を行ったり、亡くなった際に遺贈を行ったりしている場合に、贈与又は遺贈の価額を相続財産に持ち戻して各人の相続分を出すことにより、贈与または遺贈により利益を得た相続人と、利益を得ていない相続人の間の不平等を是正するための制度です。

今回のケースだと、亡くなったお母様(被相続人)の財産は3500万円。

被相続人が生前に次女に渡した500万円は、婚姻の際に今後の生計の資本として渡した金員ですから、特別受益にあたります。

このため、特別受益の500万円を持ち戻した、3500万+500万円=4000万円が相続財産となります。

この4000万円を法定相続通りに姉妹で分けると1人あたり2000万円ですが、妹はすでに500万円をもらっているので、これを差し引いた2000万円―500万円の1500万円を相続するという扱いになります。

寄与分

相続人の中で、被相続人の事業に関する労務を提供したり、財産を提供したり、被相続人の療養看護などを行ったりして、被相続人の財産の維持または増加に、親族として通常期待される程度を超えるような特別の寄与をした者がいるときに、その寄与分を相続分に反映させる制度です。

今回のケースであれば、無償で家業に従事してきたことにより、通常得られたであろう給与額から母が負担していた姉の生活費を差し引いた額や、姉が母を療養看護したことにより、介護費用等の出費を免れた額などが、寄与分として認められる可能性があります。

仮に姉に200万円の寄与分、妹に500万円の特別受益が認められたとすると、

姉の相続分は、(3500万円+500万円-200万円)×1/2+200万円=2100万円
妹の相続分は、(3500万円+500万円-200万円)×1/2-500万円=1400万円

となります。





 

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