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葬儀後に始まる相続手続き。
中でも、財産の相続についてはわからないことも多い中で手続きの期限が決まっているため、不安や負担を抱えてしまいがち。
今回は、全国規模で法律事務所を構える「ベリーベスト法律事務所」で相続手続きを担当している田渕朋子弁護士監修のもと、相続でもめる事例とその解決方法や費用・期間について詳しくご紹介します。
家族構成:父は数年前に他界しており、母が今回死亡した二次相続。
相続人は2人兄弟のみ。
兄は実家に住んでいる。相続財産は現金200万程度と3000万円相当の土地。
家屋自体は築20年以上経過していて資産価値0円。
父の死後、介護が必要になった母の面倒をみてくれた兄には感謝しています。
ただ、収入が少ない兄の代わりに介護のために必要な費用は自分が負担することが多かった。妻と2人の学生の子供がいるのでそれなりに家計は大変でした。
また、兄は収入が少ないことを理由に結婚せず実家暮らしで家賃や生活費をほとんど入れていなかったと母からも聞いていました。
もともと祖母の代を入れると家族6人で暮らしていた実家は兄1人で暮らすには広すぎる。自分たちも年をとっていく中で古い実家の修繕費や固定資産税を考えると売却価値がある間に売却してコンパクトなマンション暮らしに切り替えるほうが良いと兄に伝えても「嫌だ」の一点張りです。
かといって実家売却価格3000万円の半分に相当する1500万円を兄が支払えるわけもないので話し合いは並行したままで母の遺言書もなく、遺産分割について追い詰められています。
相続について、兄弟でもめた場合、どんな遺産分割の解決方法があるのか見ていきましょう。
遺産を分けるためには、遺産分割という手続きを行う必要があります。
遺言書が存在し、遺言どおりに違算を分ければ良いのであれば、遺言書の内容を実現すれば良いのですが、遺言がなければ、たとえ法定相続分(民法900条)どおりの配分で良いとしても、必ず遺産分割を行う必要があります。
遺産分割は、相続人同士で話し合いができるのであれば、協議(「遺産分割協議」)によって行うことができます。
今回のケースだと兄弟間の話し合いで遺産相続の割合を決めることになります。
ですが、今回は弟さんの相談ではその話し合いがうまく進まず困っている。という内容でした。
この場合は以下の2つの方法が考えられます。
今回、遺産分割の手法としてはいくつか考えられますが、今回のお兄さんの状況と主張を考えると、弟さんは調停申し立ての手続きを選ぶのも1つの選択肢です。
調停申し立てとは、一言でいうと「家庭裁判所が相続人の間に入って行う遺産分割の話し合い」です。
相続人同士での遺産分割協議がうまくまとまらない今回のようなケースの場合に、遺産分割の調停申立を相手方(今回は兄)の住所地を管轄している家庭裁判所に行う手続きです。
「調停」や「申し立て」と聞くと、身構えてしまいますが、相続人同士が納得の上で合意できるように家庭裁判所が仲介役をしてくれるので、当事者同士で解決の糸口が見えないまま、事態が深刻化する前に知っておきたい選択肢です。
尚、調停で決まった事項は調停調書に記され、法的な拘束力があります。このため、後々のトラブルを防ぐ効果もあります。
手続きの流れの概略は以下の通り。
[1]家庭裁判所に調停申立書を提出*手数料納付
(調停申立書が適法に受理されると、第一回期日の通知とともに相手方に送られる。)
↓
[2]調停期日に出頭
↓
[3]調停の成否(成立の場合は【4】、不成立の場合は【5】
↓
[4]調停調書の作成
↓
[5]審判手続きに移行(調停がまとまらない場合)
円満、円滑に相続財産を相続したいと思っていても、遺産をどのように分割するのか?という問題をきっかけに「争続」となり、それまでの関係が壊れてしまうケースも残念ながら少なくありません。
「もっと他に違うやり方があったのでは?」と後悔したり、2度と顔も合わせられないほど関係が悪化してしまう前に、法律の専門家である弁護士の力を借りる選択肢も考えましょう。
自分で調停を申し立てるのは大変ですが、弁護士に依頼すれば調停申立の手続はすべて代理してもらえます。また、調停を申し立てる前に、相手方と交渉してもらうことを依頼することもできます。
などのメリットがあります。
相続人ごとに特定の財産を相続する方法です。
遺産分割の基本的な方法で、最も多く利用されています。
今回のケースだと、相続財産には土地と現金があるので、土地は長男、現金は次男と分割することが考えられますが、そうすると、相続する財産の価格にかなりの差が出てしまいます。
そのような場合には(3)の代償分割を検討すべきです。そして、長男に代償金を支払う資力がない場合には、(2)の換価分割を検討することになります。
相続財産が不動産や物である場合に、不動産や物を売却してお金に換金し、相続人で分配する方法です。現物での取得を誰も望んでいない不動産や、お金に換えて分けるしかない不動産などを相続した場合に選択される傾向にあります。
今回のケースだと、弟さんの主張はこの選択肢に該当します。お金に換えて分けるしか方法が無いのではないかということです。
長男は激しく抵抗すると思われますが、遺産は分けなければならないものであることを、調停委員などから粘り強く説得してもらって、引越ができるだけの期限などについてはできる限りの配慮をして、この方法に同意してもらうのが最善でしょう。
ただ、不動産は売れなければ現金化(換価)できませんので、この不動産の売却可能性がどのくらいあるのかを検討しておく必要もあります。
また、売却の前に、お母様からの相続登記などの不動産登記(登録免許税が必要)、不動産売却にあたっての仲介手数料や譲渡所得税など、手間と費用が発生することを考慮しましょう。
不動産登記は煩雑な手続きなので、相続人での対応が難しい場合は司法書士に依頼することも可能です。登記の現状がどうなっているかによって、かかる費用も変わってくるので、見積もりを出してもらったほうが良いでしょう。
相続人のうち1人又は数人に遺産を現物で相続させ、その現物を相続した人が他の相続人に対して金銭などで精算する方法です。
今回のケースだと、長男がお母様と同居をしており、このまま住み続けたいという主張なので、家と土地とは長男が相続し、その代わりとして次男には相続分を金銭で支払うことになります。
支払は、話し合いによっては分割払いにすることも可能です。ただ今回の場合は長男に金銭的余裕がなく、代償金を支払うことができる可能性が低いため、この方法を選択することは難しいでしょう。
相続財産の一部または全てを相続人が共同で所有する方法です。
今回のケースだと、家と土地の名義を兄弟の共有名義とし、2分の1ずつの持ち分で実家の不動産を共有することになります。土地そのものを2分割して相続する場合と異なり、共有名義の相続では兄弟共に土地全体を使用する権利を持ちます。
ただし、共有名義にする場合、今後の相続を考えると、後の世代の負担になることが多いので注意が必要です。次男が亡くなると、その妻と子供に共有持分が承継されますので、共有名義人が増えて手続きが複雑化することが予想されます。また、共有名義にした後、この不動産を売却したい・リフォームしたいなどの場合には、共有名義人全員で話し合いをする必要がありますが、意見が合わず話し合いが難航する恐れがあります。
さらに、共有者はいつでも共有物分割請求ができます。結局、遺産分割の際に共有分割を選択することは、分割を先延ばしにするだけで、問題の解決にならないことがほとんどです。
すぐに売却する先が決まっているなど、例外的なケース以外には共有分割は避けるべきでしょう。
相続が発生する前から被相続人を交えた話し合いができていて、スムーズに相続手続きが解決することが理想ですが、相続は、普段家族間でもなかなか話しにくいお金や財産のことを話し合うことになるので、話し合いができない、進まないといったお悩みはよく耳にします。
また、被相続人を交えた話し合いができていたとしても、遺言書を残していなかったり、生前に贈与を行っていなかったら、結局のところ被相続人が亡くなられてから、1から話し合いをしなければなりません。
相続発生前に、遺産は要らないという意思表示をしていたとしても、そのとおりになるわけではないのです。
相続が発生したら、まずは相続を受けるのか放棄するのかを検討しますが、今回のケースは相続するということを決めたことを前提にしています。
不動産と現金の現物分割では、特に現金があまり残されていない本件のような事例だと、公平に分割できないこともあり、話し合いが難航することが予測されますが、不動産の一部を売却できるようなケースであれば、不動産の一部分を取得する現物分割と、残りの部分を売却する換価分割を組み合わせるなどして、兄弟が納得できるように柔軟に方法を模索することも可能です。
話し合いの方向性や現実的な手続きで悩んだ時は、弁護士に1時間程度の無料相談を利用することも検討しましょう。
1人で悩むよりも専門家に相談することで、適切な解決方法を知ることもありますし、煩雑な手続きを代行してもらうことも可能です。
依頼後も、対面だけでなく、電話・メールでのやりとりはもちろん、テレビ電話会議などでの相談も可能な弁護士事務所も増えているので、時間のないサラリーマンや子育て世帯でも気軽に利用できます。
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定年退職のこと
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