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葬儀後に始まる相続手続き。
中でも、財産の相続についてはわからないことも多い中で手続きの期限が決まっているため、不安や負担を抱えてしまいがち。
今回は、全国規模で法律事務所を構える「ベリーベスト法律事務所」で相続手続きを担当している田渕朋子弁護士監修のもと、相続でもめる事例とその解決方法や費用・期間について詳しくご紹介します。
家族構成:三男が仕事の関係で海外(アメリカ)に10年ほど住んでいる。
母の死後、葬儀が終わったら三男はすぐに帰国してしまった。
三男は気軽に帰国できるような立場になく、十分な協議ができないため、遺産分割が進まない。
日本に住んでいる長男と次男と、アメリカに住んでいる三男との間で、時差の関係もあり、メールや電話でなかなか話が進まず帰国も難しいとなり、遺産分割が進められず困っている。
日本は書類への捺印文化が普及しているため、印鑑証明書と実印の制度が普及しています。
相続における各種の手続きでも、不動産の登記を行う時にも、銀行で預金を解約するときにも、実印の捺印と、印鑑証明が必要です。
また、住所地を証明するために住民票が用いられます。
しかし、海外に住んでいて、日本に住民登録が無い場合には、日本国籍を有していても、印鑑証明書も住民票も発行してもらうことはできません。
ここまでの解説でお気づきのように、海外に相続人がいる場合は、ただでさえ煩雑な相続手続きのハードルが更に上がります。海外とのやりとりには時差もありますし、日本領事館とのやりとりや、書類の郵送1つとっても時間がかかります。
手続きに不安がある場合は、海外とのやりとりをふくめた相続経験がある弁護士に相談することも検討しましょう。
海外に相続人がいる場合に、通常必要となる書類(印鑑証明書や住民票など)に代わる証明書を用意することになります。その内容と方法を見ていきましょう。
相続財産の分割にあたり、1つのゴールとなるのが遺産分割協議書の作成です。
そのためには海外にいる相続人を含めた相続人全員で、遺産を分割する方法とその内容について合意しなければなりません。この合意を明らかに証明するための書類が、遺産分割協議書です。
遺産分割協議書には、確かに各相続人が合意したことを証するために、相続人全員が署名して実印を押印し、印鑑証明書を添付することが通常必要になります。
しかし、日本に住民登録がない海外在住の日本人だと印鑑証明書は取れません。海外諸国の制度として、印鑑証明の制度があるところもほとんどありません。
海外では、署名(サイン)を公証してもらうことで、日本の実印+印鑑証明書と同様に、本人が間違いなくこの文書に署名したということの証明を行うことが通常です。このため、海外にいる相続人は、遺産分割協議書に署名(サイン)を行い、その署名を住んでいる国の日本領事館等で証明してもらうことになります。
相続財産の中に不動産がある場合、不動産登記手続き等のために住民票が必要です。海外に住んで日本国内に住民登録をしていない相続人の場合は、本籍が日本にあるとしても、居住している外国の住所を証明する書類を、住民票のように、地方自治体が発行してくれるわけではありません。
海外の住所を証明する書類は「在留証明書」になります。在留証明書は、居住する国の日本領事館に、パスポートや滞在している国が発行した運転免許証、あるいは住所が記載されている公共料金の請求書など、現住所にいつから居住しているのかを証明できる書類を提示することにより、取得することになります。
海外にいる相続人が住んでいる国の国民として帰化している場合、相続人であることを証明する必要があります。
日本に国籍がある人であれば、相続人であることを戸籍で証明することができます。ところが、外国籍の人には日本に戸籍がありません。
そこで、戸籍の代わりに相続人であることを証明する書類が必要になります。特に、その相続人がすでに死亡していて、代襲相続が発生しているときには、代襲相続人が相続人であることを、死亡証明書や出生証明書などの書類で証明していく必要があります。
葬儀後の多数の相続手続きをクリアしていくだけでも相続人には負担がかかりますが、海外とのやりとりが発生すると、より大変さが増します。
特に働いている人や、子育てや病気などであまり移動できない事情がある人にとっては身体的にも大変な負荷がかかります。
弁護士や司法書士などプロに相談することで一気に負担が軽減される部分ですので1人で抱え込む前に専門家に気軽に相談してみることも検討してみましょう。
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