相続手続きの流れをチェック有効な遺言がある場合

記事を保存しました

家族の一人が亡くなると、故人の名義を変えたり、故人の財産を家族で分けて引き継ぐ手続きが必要になります。この相続に関係する手続きのことを「相続手続き」と呼びます。

相続の手続きは期限が決められています。その期間に忘れずに手続きするために、葬儀後の実際の相続の流れ(有効な遺言がある場合)を紹介していきます。

※遺言がない場合は、相続手続きの流れをチェック 遺言がない場合

ポイント1:3ヶ月以内に遺言の内容を確認する

遺言の開封に期限があるわけではありません。期限がないのに、どうして3か月以内に開封したほうがよいのでしょうか。

それは遺言の内容が相続の鍵を握っているからです。遺言の開封が遅くなれば、手続きもその分だけ遅くなってしまうので要注意です。

自筆証書遺言のケース

自筆証書遺言は、真っ先に自らで開けて読んではいけません。検認という手続きが必要です。

検認とは?
法的に有効なものであるかを家庭裁判所が確認する手続きです。検認をせずに開けた場合、無効とはなりませんが、国から罰金が課せられます。

公正証書遺言のケース

公正証書遺言は、公証役場で専門家に確認してもらいながら作成しているため、法的に有効・無効の確認(検認)は必要ありません。遺言は公証役場で保管されます。

以上のことに気をつけて、遺言の存在が確認できたら、なるべく早く開封し、内容を確認しましょう。

「相続なんてうちとは関係ない」と考える方も多いかもしれません。しかし、ほとんどの方が何らかの相続手続きが必要だということを知らず、慌てて相続手続きをするケースが多いようです。

参考記事:「相続は身近な問題

ポイント2:相続人・相続財産の調査

遺言に相続人の指名があれば、原則として指名された人が財産を引き継ぎことになります。

遺言に相続の対象の財産について記載があれば、それに従って財産を引き継ぎます。遺言に財産の全てが載っていない場合は、調査が必要です。プラスの財産とマイナス(支出)の財産を調べましょう。死亡後に支払う入院費用もマイナスの財産となります。

3つの手続きポイント

相続の手続きと一口で言っても、どのように財産を引き継ぐか選ぶことができます。

このとき、法定相続が優先されます。基本的に遺言の内容に従って相続が行われますが、必ずしも遺言通りにしなくて、合意があれば相続人で話し合って自由に分配することも可能です。

単純承認

もっともシンプルな相続は「単純承認」です。故人(被相続人)の財産上の権利・義務をプラスの資産もマイナスの資産も全部承認して、引き継ぐことが単純承認です。この単純相続を変更するために特別な手続きをすれば、限定承認か相続放棄ができます。

※次のことをすると自動的に単純相続になります

  • 相続放棄または限定承認の手続き前に、相続財産の全部・一部を相続人が処分した
  • 相続の開始を把握してから3ヶ月以内にそれぞれの手続きをしなかった
  • 限定承認または相続放棄の手続きのあとに相続財産の全部または一部を隠したり使ってしまったり、知っていながら財産の目録の中に書かなかった

相続放棄

相続放棄は文字の通り、遺産よりも借金のほうが多い場合などに「相続をしない」と決断することです。これは相続に関する全ての権利を放棄することになります。なお、一度相続の手続きをしてから放棄することはできません。

例えば第一順位の相続人が放棄した場合は、第二順位・第三順位へと順次相続人が替わる。第一順位の人が放棄したからといって、相続自体がなくなるわけではありません。

手続き先は、家庭裁判所です。「相続放棄申述受理証明書」を交付してもらいます。この手続きによって、「代襲相続」という相続人の子どもが相続することもなくなります。

※気をつけること

相続するものを事実上0にする方法は遺産分割協議でゼロにすることもできますが、相続自体は執行されたとみなされるので、債務も相続することとなります。

限定承認

プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も引き継ぐのが限定承認です。限定した範囲内でのマイナス財産の相続するため、相続がマイナスになることがありません。

限定承認の流れ

  1. 限定承認したことを公告する
  2. 相続人全員で3ヶ月以内に財産目録を家庭裁判所に提出して申し立てる
  3. 財産管理人の選定がある
  4. 精算手続きする

故人の所得税の申告・納付(準確定申告)

相続財産、債務の調査

遺言に記載がある場合は問題ありませんが、遺産がいくらあるのか確認が必要です。

マイナスの財産とは、一口に借金というわけではなく、税金や入院した治療費も出ていくお金なのでマイナスの財産となります。

そして、故人の分の確定申告をしなければなりません。相続人が代わりに申告することを、これを「準確定申告」といいます。

準確定申告の場合、「1月1日~死亡した日までの所得を、相続の開始があったことを”知った日”の翌日から4か月以内」に手続きしなければいけません。
確定申告は全員が対象者ではありません。日頃の確定申告対象者と同じです。例えば、個人事業主、不動産所得や譲渡があった、山林所得、などです。

準確定申告をすれば、税金が元に戻ってくる場合

  • 医療費控除が受けられた
  • 住宅ローン控除が受けられた
  • 年末調整後に扶養家族が増えた etc
※ただし、医療費控除は死亡日までに支払ったものが対象です。翌日以降は控除の対象外となっています。

誰が手続きするの?

相続人が1名のときは、その相続人が行います。2名以上いるならば、原則的に「各相続人が連署により準確定申告を提出する」こととなります。

相続人が2人以上いる場合に、それぞれが別々に提出することも可能です。ただし、他の相続人の氏名を付記して、その人に申告した内容を通知しなければなりません。

財産の名義変更

故人の名義になっている財産の名義を変更しなければなりません。

たとえば、自動車、公共料金、インターネットの契約、株券、電話の権利などが該当します。

また、不動産の場合は所有権の移転登記を変更する必要があります。

この登記申請には期限がありません。期限がないのに早く手続きをするのは、所有権の移転登記をしなければ、建物を解体したり売却したりすることができないからです。また、不動産を担保にすることもできません。

手続きは面倒に感じるかもしれませんが、早めに名義変更の手続きをしましょう。

相続税の申告・納付

相続税の計算をして、いくらか算出しましょう。申告で必要な書類をそろえて、提出します。

書類リスト

難しい手続きであるため、専門家に相談する方が多いです。専門家を選びでお困りの方は、エンディングパーク推薦専門家にご相談ください。

もしくは、専門家の長井氏が執筆した「税理士の選びで大切な3つ」をご参考ください。

Pick UP 相続の専門家

長井俊行(ながいとしゆき)
相続手続支援センターなにわ支部所長
年間200件以上の相続関係の相談に対応する。1人でも多く争続で悩む人を減らしたい。そんな想いを持って対応しています。詳細ページ

関連する記事

タグ一覧

注目の記事【PR】

あわせて読みたい

カテゴリ別ランキングRanking

定年退職のこと

もっと見る

あなたにおすすめ記事Recommend