定年を前に考える、50代からの女性の「働く」

最近の就活市場は「売り手市場」と言われますが、50代前後やそれ以上の方についても当てはまるのでしょうか。

また、「一億総活躍時代」などとも言われますが、採用する企業側の反応や受け入れ体制はどうなのでしょうか。

働くということは、「生活の糧を得る」というだけでなく、「生きがいを得る」と言う意味でも大きな役割を持ちます。定年後の人生や老後を考える上でも、就活市場の現状を知っておいて損はないはず。

そこで、人材紹介会社のミドル・シニアの就活に詳しい方にお話を伺い、50代前後やそれ以上の方の最新就活情報をあぶり出す「定年を前に考える、50代からの「働く」をテーマに連載でお届けします。

第3回目は、自身の経験から、働く女性を中心に、人と企業をつなぐ取り組みを始めたという、株式会社 きらり.コーポレーション代表取締役 塚本薫さんに、50代〜60代のミドル・シニア世代の女性の就職活動についてお話を聞きました。

定年を前に考える、50代からの女性の働く

3年間、専業主婦だった塚本薫さんが起業した理由

塚本さんは10年以上前、出産を機に務めていた会社を退社し、約3年間専業主婦をしていました。ところが、ありがたいことに、務めていた会社から「戻ってきてくれないか」と声がかかります。

塚本さんは職場復帰を果たしますが、約3年間のブランクは思った以上に大きく、感覚を取り戻すのに時間がかかったといいます。

あとでこんなに大変な思いをするのに、なぜ女性は仕事を辞めてしまうんだろうと思いました。そこで、『女性の支援をしよう』そのために、『テレワークという働き方を作りたい』と思い立ちました」

息子の治療で静岡に約半年入院ののち、熊本に帰り職業訓練校に通い、経営や企業について学びました。そして、NPO法人設立を経て、きらり.コーポレーションを立ち上げました。

テレワークとは、インターネットなどを使い、時間や場所の制約を受けずに働く勤務形態。近年、子育て中の女性のみならず、男性にも浸透しつつある働き方です。

塚本さんは、学童保育の事務をアウトソーシングで受託できないかと、テレワークで子育て女性が事務の経験を積めるよう「学童保育BPOテレワーク事業」を立ち上げました。約10年以上の実績がある同事業は、ピーク時で合志市・菊陽町・熊本市の3市町村の業務を受託していました。

「ワークライフバランスは、女性自身がスキルアップをすることで作れるし、『仕組みを考えることで実現できる』そう考えて、会社を作りました」

女性の就労第一歩、「まずは自分を知る」

塚本さんは現在、人が活き活き働くためのサポートとして、求職者支援やブランク女性の復職支援、キャリアカウンセリングなどを行っています。シニア世代向けには、実際に企業の中に入り、その企業が求める人材やその企業を希望する人材を紹介する人材ポータルや、採用コンサルティングを始めています。

長い間、正社員やパートなどで働いてきた方で、自分の身体や健康状態などと向き合って、『そろそろ働き方を変えようかな』と考えて相談に来る方が多いです」

専業主婦の方はどうでしょうか。

「専業主婦の方からの『外で働きたい』という相談はあまりありません。育った環境の違いかと思うのですが、団塊の世代くらいのこれまで専業主婦でいた方は、よほどのことがない限り、生涯専業主婦でいる方が多いのではないでしょうか」

就労経験がない女性や少ない女性、ブランクがある女性が働く上で、気を付けることはありますか。

すぐに資格を取りたがる傾向があるので注意が必要です。シニア世代に限りませんが、就職活動を始めるには、まずは自分を知ることです。自分のことを深く知ろうとせずに、資格を取ろうとするのは順番が違います。例えば介護の資格を取る前に、『本当に人を支援することが好きなのか』を考える。でないと、資格の勉強自体が続きませんし、取れたとしても、仕事自体が長続きしないケースが少なくありません」

つまり、資格取得を目的にするのではなく、就きたい仕事のために資格があった方がいいなら取ればいいということ。まずは、自分の適性を自分で把握していく作業が必要なのですね。

「当社のセミナーや個別カウンセリングでも行っていますが、まずは『人と会う仕事がいいか』『人と会わない仕事がいいか』というところから始めています。就職活動をするなら、そこはご自分で把握しておいて欲しいと思います」

やりたい夢があるなら資格よりも準備が大切

塚本さんは起業する前、職業訓練校で経営や起業について学んだといいます。

「受講生は年代も性別もバラバラで、50代〜60代の方もいました。離職者訓練といって、失業保険をもらいながら職業訓練する制度があるんですが、今、当社でも職業訓練を行っています」

塚本さんと同じ職業訓練を受けていた人は、仕事を退職し、起業を目標に来ていたのですね。

「私が受けたのは経営者を育てる科でしたが、最近はパソコン関連とか介護とか、資格取得を目指す科ばかりになってきています。それに関して、私は疑問を感じているので、行政とタイアップして、起業を支援するセミナーを企画運営したり、起業家のネットワークを作る取り組みなどを行っています」

起業を支援するセミナーは、50代〜60代の受講生は多いのでしょうか。

「少なくありません。実は、過去に私のセミナーに来られた方で、退職金を全部起業につぎ込んでしまった方がいました。その反省も含めて、計画が拙い事業へ、シニア世代が退職金を投入してしまうのを防ぐために、少しでも力になれたらと考えています」

大切な退職金を活かし、夢を叶えるためには、入念な下準備が必要ということですね。

「基本的には、職業訓練やセミナー、カウンセリングなどを受けて情報収集をして、情報を精査した上で次のライフステージに向かうことが大切。やりたい夢を伸ばしたいなら、それなりに勉強も必要なのです」

第2の人生をどう生きるか

ミドル・シニア世代の仕事選びで大切なことは、

1.自分の適性を見極める

2.目標達成のために準備する


ということが分かりました。

「第2の人生をどう生きるかについては、退職や定年を迎える前にみなさん考えると思うんですが、時々『しばらく何もしたくない』と言って、何も考えないまま退職する方がいます。旅行に行くなど何かプランがあればまだ良くて、本当に何も考えていない人がいます。それでは時間がもったいないので、次の人生のライフプランやキャリアプランは、早い段階から考え始めることをオススメします」

第1の人生の終わりが見えてきたら、第2の人生について考え始めましょう。

一度気が抜けると、再び入れ直すのは、思った以上の労力や時間が必要です。

「外に出てやってみないと、わからないことがほとんどです。女性は男性に比べて、自己肯定感が低い方が多いのですが、企業は、自分を売り込む人にしか対応してくれません。『自分のどこが好きか』『自分の魅力はどこにあるのか』『自分の強みはどんなところか』を客観的に見極めて売り込んでください。『私なんて』などと言っていては採用されません」
定年前に考えたい50代女性の働き方
働きたいという気持ちがあっても、それを外に出さなければ、誰も気づいてくれません。

近年、日本は人手不足や高齢者の増加などが要因で、50代〜60代の女性を採用する企業は増えています。また、採用した企業側からの「採用して良かった」との声も大きくなりつつあります。

働きたいという気持ちがあるなら、まずは自分の適性を把握するところから始めてみましょう。それが終わる頃には、次のやるべきことが見えてくるはずです。

(取材・執筆:旦木 瑞穂)

この記事の取材協力先

きらり.コーポレーション
https://www.kirari-co.info/

タグ: 女性 定年後の生きがい 定年前 定年後 定年退職 仕事

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