【FP監修】定年世代が知っておきたい保険とお金「定年退職前後の民間保険のみなおし」

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定年世代が気になる定年退職後の保険やお金、制度や手続きのこと。できるだけスムーズかつ効果的なやり方で進めたいけれど、わからないこといっぱいありますよね。

そこで今回は「退職後も継続したほうがいい保険は?」「現役時代のままでいいの?」など、定年退職前後(50代後半〜60代前半)の方が知っておきたい「民間保険の見直し」について、ファイナンシャルプランナー(FP)さんにわかりやすく一問一答で解説していただきました。

定年退職前後の民間保険のみなおし 定年退職前後の民間保険のみなおし

生命保険・医療保険、定年後もこのままでいいの?

【質問1】定年退職前後、民間の生命保険・医療保険はどうすればいい?

50代後半になると定年退職後の生活を視野に入れて見直さなければいけません。

人生の後半戦こそ保険が役に立ちます。

50代・60代の定年世代の不安の上位は、やはり「医療」や「介護」ですよね。加えて「相続」や死後の「整理資金(葬儀関連費用・お墓関連費用等)」なども現実問題として考えておかなくてはならない年代です。

しかしこのような大体の悩みは、実は保険で解決できます。

ただ、医療費や介護費は公的医療保険(健康保険)や公的介護保険など、公的制度がありますので、かかる費用の全てを自分で備えておく必要はありません。

厚労省の調べでは、60歳以上の場合、人口10万人に対して約7千人以上の人が入院や通院などで医療機関にかかっています。また、一人当たりの年間医療費の額は、65歳未満が約19万円なのに対し、65歳以上は約74万円と高額になっています。

ですがこれも、健康保険に加入していれば、3割負担、75歳以上になると後期高齢者医療制度が適応されますので、原則1割負担となります。(現役並みの所得がある人は3割負担)

【質問2】高額治療費制度とは?

「高額療養費制度」とは、医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する公的制度です。

上限額は、年齢や所得に応じて定められており、いくつかの条件を満たすことにより、負担を更に軽減するしくみも設けられています。

<医療費の自己負担限度額>

70歳以上の場合
例)年収156万~約370万円:57,600円
70歳未満の場合
例)年収約370~約770万円:80,100円+(医療費-267,000円)×1%

また、「高額介護合算療養費制度」もあります。

「高額介護合算療養費制度」は医療保険と介護保険における1年間(毎年8月1日から始まり翌年7月31日まで)の医療保険と介護保険の自己負担の合算額が著しく高額であった場合、自己負担額を軽減する制度です。

年額56万円を基本とし、医療保険各制度や被保険者の所得・年齢区分ごとの自己負担限度額 を踏まえて細かく設定されています。

とはいえ、療養や介護などが長期に渡ることもありますし、予期せぬことが起こるのが人生というものです。

備えあれば憂いなし。

定年前後の世代は今ある資産を [“増やす”よりも“減らさない”]という意識が大切ではないでしょうか。

定年退職前後の民間保険のみなおし

定年世代の生命保険・医療保険の見直し方法は?

【質問3】定年後、見直したほうが良い保険や項目はありますか?

① 掛け捨て保険の見直し

まずは「掛け捨て保険の見直し」をしてみましょう。

若い頃、保険料を抑えて大きな保障を得ようと掛け捨ての保険に加入したという方も多いと思います。30代40代に加入したままの保険があれば見直す価値はあるのではないでしょうか。

子供が小さいうちは、生活費や教育費などを重視するため高額な死亡保障が必要ですが、子供が成長するにつれ死亡保障の必要性は低くなります。

今、自分に必要な保障額と加入している保険の保険金額を比較し、現状にあった保険へ変えると保険料を減らせる可能性もあります。

② 入院保障の見直し

年齢が高くなると病気やケガによる入院リスクも高まります。

ですが50代後半から新たに保険に加入すると保険料も高くなりがちですから、必要最低限にするか、貯蓄型の保険にする方法もあります。

近年、入院日数は減少傾向です。今後は一段と通院や在宅医療が進むため、大きな保障は不要と言えそうです。

長い入院に備えるよりも、先進医療など治療費に重点を置くほうが正解でしょう。

【質問4】保険への加入および見直しをする場合の注意点は?

① 終身保険の確認

終身保険を持っている人は、そのまま相続対策にもなりますので、保障として続けて残しておいても良いでしょう。

② 将来受け取る年金額の確認

自分が将来、受け取れる年金額を確認し、把握しておきましょう。

公的年金制度は複雑です。

老齢年金(基礎年金・厚生年金)はいつから、どれくらい受け取れるかを知っておくことは、老後のライフプランを考える上でとても大切なことになります。

例えば、夫婦二人の平均的な年金額は月額23万円程度と言われていますが、実際の金額は収入や加入期間によって変わるので、確認が必要です。

50歳以上の人は老齢年金の見込み額も知ることができますので、毎年1回、誕生月に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」で確認してください。

また、自営業の人は市区町村役場の国民年金担当窓口に、厚生年金に加入している人は年金事務所に問い合わせてみましょう。ウェブの「ねんきんネット」なら24時間いつでも年金記録の確認や年金見込額の試算もできます。

公的年金のほかに、退職金や企業年金、私的年金などもあわせて把握しておきましょう。

【質問5】病気歴がある場合はどうすればいい?

病歴がある人でも加入できる保険商品もあります。

「無告知型終身保険」(健康状態の告知が不要な保険)や「引受基準緩和型医療保険」(健康条件の告知すべき内容が緩和されている保険)などもありますので、一度がんを経験しているから保険は到底入れないと思って諦めている人はもったいないです。

ただし、一般の保険に比べると、保険料が割高だったり保障内容に制限があったりなどの条件がありますので、それぞれ保険会社に問い合わせてみましよう。


専門家監修者長谷部さん
監修者:長谷部 真奈見(はせべ まなみ)

株式会社 FinCube 代表取締役
ファイナンシャルプランナー
株式会社 Studio7 代表取締役
フリーアナウンサー
株式会社 FinCube
https://fincube.co.jp/

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