遺贈とは?

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遺贈(いぞう)という言葉が注目されつつあります。遺贈とは、家族など相続人以外の人や団体に、遺言書を書いて財産を遺す方法です。

背景には、単身世帯の増加により、身近な相続人がいないことなどがあげられます。

法定相続人がいない場合、国庫に収められますが、それよりも財産の活用方法を具体的に指定することで社会に還元したいという考え から遺贈を選択する人もいます。

また、一人暮らしでなくとも終活という言葉も聞かれて久しい今、自分のエンディング(お墓葬儀相続など)のことを、自分で決めておきたいという人が増えています。

自分の意思や思いを遺す方法として「遺贈」が選択肢となる時代を迎えつつある今、遺贈をはじめて考える方のための特集です。

遺贈とは?相続や贈与と、遺贈の違いは何?

相続との違いは?

遺贈を考えた時に、相続とは何が違うの?とふと考えることがあるかもしれません。

相続とは、亡くなった人の遺産を、配偶者や子どもなど相続人が受け継ぐことをいいます。本人の意志がない場合でも、自動的に財産が引き継がれます。相続することができる人は、家族など法定相続人に限り、団体などに相続することはできません。

一方、遺贈は、本人の意志によって与えられるものであり、法定相続人以外の人に受け継ぐことも可能です。相続させる対象は「人」以外の「自治体や法人、団体」でも可能という違いがあります。

贈与との違いは?

贈与と遺贈の違いは何でしょうか?

贈与はお互い合意のうえでの契約であり、書面で行った場合は、基本的に撤回ができません。

遺贈は一方的な意思表示であり、いつでも撤回することができ、また受け取る側(受遺者)は放棄することもできます。

税金の面で有利とされるものが遺贈で、死亡を原因とする贈与に関係しては、「死因贈与」という方法があり、一定のメリットがありますが不動産取得税が課税となるなど、遺贈の方が税的に有利な面があります。


相続・贈与・遺贈・・・それぞれのメリット・デメリットは?

相続、贈与、遺贈のそれぞれのメリット、デメリットについて比較してみます。

相続

相続とは、本人の死亡を原因として財産を受け取ることで一般的に広く知られています。(例:妻と子供に財産を相続するなど)

[メリット]
相続人に財産を残す一般的な方法で、本人の意志と関係なく自動的に引き継がれるので書類作成などの手間がかからない(遺言書を作る場合は必要)

[デメリット]
法定相続人以外に財産を与えたい場合には相続はできない(遺贈か死因贈与という方法になる)

贈与(死因贈与)

死因贈与とは、本人の死亡を原因として財産を贈与する契約のことをいいます。(例:死亡後に土地を贈与するなど)

[メリット]
お互い合意の上での契約なので受け取る内容が明確

[デメリット]
不動産取得税が課税となるなど、税金的に不利な面がある

遺贈(1)包括遺贈

包括遺贈(ほうかついぞう)とは、遺産の一定割合を与える遺贈のことです。(例:財産の1/3を遺贈するなど)

[メリット]
遺産の割合を決めて与えるので、時間とともに変化する財産構成の変化にも対応できる。国や自治体、公益社団法人などに遺贈する場合は、税金が優遇される特例がある。

参考:相続財産を公益法人などに寄附したとき(国税庁より)

[デメリット]
債務も割合に応じて引き継ぐ場合がある。遺産分割協議に参加するなど他の相続人とのやり取りが負担になる可能性も

遺贈(2)特定遺贈

特定遺贈とは、特定の財産を指定して与える遺贈のことです。(例:○○銀行▲▲支店の預金・口座番号◇◇◇◇を遺贈する、など)

[メリット]
財産を指定するので、包括遺贈に比べて他の相続人との軋轢が少なく、受取人が借金を引き継ぐリスクがない。包括遺贈と同じく、税金が優遇される特例がある場合がある。

[デメリット]
遺言書の作成から遺贈までに時間がある場合、財産価値が変化し処分している場合も考えらえる(財産を処分していた場合は、遺贈は無効になる)

注意1:各メリット・デメリットを簡略化して記述しており、状況や条件に応じて異なる場合もありますので、具体的には、税理士さんなど専門家に相談されることをお勧めします。

注意2:法定相続人がいる場合は、遺留分という相続する権利を主張できる部分があり、遺留分を侵害した遺贈は、後々、揉める原因にもなりますので注意が必要です。

つまり・・・遺贈とは

相続と遺贈の違いを知ることで、遺贈とは自分の意志で、法定相続人以外の人や団体に財産を伝える方法ということが分かりました。

また、財産のすべてを遺贈するのではなく、特定遺贈というように、特定の財産を指定して遺贈する方法も広く行われています。

近年では、お世話になった大学や、住んでいた自治体、生前から寄付などで支援していた慈善団体などに自らの意志で遺贈をされるケースが見られています。

自分のエンディングについて主体的に考え、思いを次の世代に受け継いでいくこと・・・それが遺贈なのかもしれません。

参考:遺贈に積極的に取り組んでいる大学や団体の例
・東京大学:http://utf.u-tokyo.ac.jp
・京都大学:http://www.kikin.kyoto-u.ac.jp
・あしなが育英会:http://www.ashinaga.org
・国境なき医師団:http://www.msf.or.jp/donate
・UNICEF:http://www.unicef.or.jp
・全国レガシーギフト協会:https://izoukifu.jp/

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