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「四苦八苦して生きてきた」
など日常でも聞かれる「四苦八苦」は仏教用語に由来する言葉と言われています。
人生におこる4つの苦しみと生きる中でおこりうる更に4つの苦しみ。合わせて8つの苦しみを四苦八苦と言います。
人生におこる4つの苦は、「生老病死(しょうろうびょうし)」。
生まれ、老い、病にかかり、そして死んでいく。人生に代表されるこの4つの苦を出家前のお釈迦様が知ったことでこの「苦」とどう向き合うべきか。
その真理を求めてお釈迦様は自身の生家であった城も王子という立場も、妻も子もおいて厳しい修行に出たと言われています。
そして更に「生きる中でおこりうる4つの苦しみ」。
嫌なものに出会う苦しみ「怨憎会苦」
自分の身体なのに、自分でコントロールできない苦しみ「五蘊盛苦」
欲しくても手に入らない苦しみ「求不得苦」
愛する人ともいつかは別れなければならない苦しみ「愛別離苦」
があります。
苦しみは、自身の価値観を変えるために存在するものでどうこの苦しみと向き合い、どう受け取るのか?それらが悟るために必要な
ことであるという教えとしてお釈迦様が残された仏教の考え方です。
人生を自然に生きていれば、おこりうる四苦八苦。
しかし、医療や美容の発達により、現代では生む苦しみや病気・老いはその人がもつ本来の姿や機能以上に軽度になったり、長期化しています。
例えば食べ物の高カロリー化やアンチエイジング効果により、10年前の60代と今の60代では見た目も体力も異なります。人生を長く楽しめるという意味では素晴らしいことである反面、老いを感じにくくになっているともいえます。
医療も、終末医療においてよく問題になる延命治療。脳死状態にあるなかで心臓が動き続けていることをどう捉えるのか?生きている状態とはなんなのか?死んでいる状態とはなんなのか?議論されているところです。
人生は四苦八苦に満ちている、その四苦八苦を受け止め、乗り越えてこそ慈悲や慈愛の気持ちをもった悟りに近づく人となっていく。といった仏教の考え方からすると「苦」を感じにくくなっているこの世では仏に近い慈愛や慈悲に満ち溢れた人が生まれにくくなるという見方もできます。
痛みを知っているから人にやさしくできる。というように実感がなければ、経験しなければ本当の意味で相手の立場にたって寄り添ったり考えることができにくい人が多いのではないでしょうか。
文明や科学によって「苦」を排除したつもりが、お釈迦様も予想しなかったような新たな苦を生みだすことにつながっているかもしれません。
答えはないからこそ、1人1人が自分の人生をどう生きて苦とどう向き合うのか?それを考えるきっかけにもなるのがこの「四苦八苦」という言葉なのかもしれません。
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ライター・ディレクター
地味に忙しい幸運体質の編集人
ライター・レポーター
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