【心にいい日本の文化】明日からはじめられる「花のあるくらし」草月流いけばな

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華道。いけばな。お花のお稽古。と聞いて、経験がない場合「むずかしそう」「敷居が高そう」「堅苦しいイメージ」「別の世界」と感じてしまう人は少なくないと思います。

「草月流いけばな」は、そんな後ろ向きの気持ちを清々しいほどに払拭してくれます。

◉ お花が好きな人
◉ 華道をはじめたい人
◉ 習い事をはじめたい人
◉ 癒しの時間がほしい人
◉ 趣味や生きがいを持ちたい人
◉ 新しいことにチャレンジしたい人

上にあげた方々はもちろんですが、やってみたいけれど躊躇している人にこそ「草月流いけばな」の世界を知っていただきたいのです。

お稽古としての「草月流いけばな」の魅力をご紹介しながら、いけばなの歴史、学ぶことの効果、メリットなどについて、草月流いけばな教室「アトリエ果花」の木内由果さんに詳しくお聞きしました。

お話を聞いた専門家

木内 由果(きうち ゆか)さん

いけばなプロフ

大学卒業後、OLを経て大手生花店に就職。企業への活けこみやイベント装花、結婚式場(椿山荘・アニヴェルセル表参道)でのブライダルブーケなどを多数手がける。2001年草月流入門。草月流いけばなの自由な世界観に感銘し「現代にあった自由な発想の草月流いけばなを広く知ってもらいたい」といけばな教室「アトリエ果花」をスタート。小学生からシニアまで幅広い生徒に指導している。

いけばな02

◆いけばなは「予習・準備・気遣い」が不要


いけばなをやってみたいけど「大変そう」というイメージが先行し、躊躇している人も少なくないと思います。
それは大きな誤解です。「いけばな」ほど気負いなく、いつでもどこでも誰でも、すぐに始めることができる習い事はあまり多くないと思います。

その理由は「事前の準備がいらない」「手ぶらで行ける」「周りに迷惑をかけない」「心が癒される」「花は消えもの」ということがあげられます。

(1)「事前の準備がいらない」
習い事にありがちな予習や事前の準備がいりません。教室では季節の花を用意してお待ちしています。

(2)「手ぶらで行ける」
持ち物は「いけばな用ハサミ」「テキスト」「ノート」ぐらい。忘れたらお貸ししますので、学校や仕事帰りでも立ち寄ることができます。

(3)「周りに迷惑をかけない」
進み具合は人それぞれなので、先生の指導のもとで黙々とお花に向かって自分のペースで楽しむことができます。自分優先でも他人に迷惑をかける心配はありません。

(4)「心が癒される」
お花を目の前にすると本当に心が癒されます。季節のお花に触れることで気持ちが豊かになり、穏やかで幸せな気分になるのです。

(5)「花は消えもの」
レッスン後にお花をお持ち帰りいただき、お家で花のある生活が楽しめます。お花は消えものなので、家に作品が溜まって困ることがありませんし、また新たにお花を飾りたくなります。好みや季節ごとに、色んなお花を飾ることができます。

いけばな03 それならば気負いなく、年齢も関係なくはじめられそう。

自分のペースで進めることができるのは、他のお稽古ではなかなか無いかもしれません。一斉レッスンのお稽古の場合、モタモタして周りに迷惑をかけるなど、行きづらくなった経験がある方もおられると思います。

また、私の教室では月謝制でなはなく、都度払いレッスンを採用しています。忙しい方にもいつでも気軽に参加してもらいたいという気持ちが大きいのです。

例えば、お仕事が忙しい、体調が良くないなどで2ヶ月丸々お休みされても、都度払い制ならば、再開も気持ちよくできますよね。

自分のペースでお花と向き合えるのはいいですね。

講師のレクチャーをもとに集中して一人黙々と行うも良し、他の生徒さんたちとお話ししながら楽しく学んでもらうも良し。終始マスクをしていても差し支えないので、コロナ禍の今にも合っていますね。

そういった自由な風潮でお稽古できることも「草月流いけばな」の魅力なのです。

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◆四季を感じて「花のあしらい」を学ぶ

実際「いけばな」レッスンは難しいのでしょうか?

「いけばな・華道を習う」と堅苦しく考えないでほしいのです。草月流では、自由にのびのびと「花のあしらい方を学ぶ」という気持ちを持ってもらえれば嬉しいですね。

「花のあしらい」とは、豊富な種類の花の特性を知ったり、季節の花をいけることで四季を感じる豊かさを楽しんだり。

例えば、その時期の枝もの1本をどのように飾ればより美しいのか、という知識を学ぶことだと思います。

花のあしらい方を学ぶことで、得られるものがたくさんありそうです。

「あしらいを学ぶ」という言葉も、日本ならではの美しさがありますよね。

花を扱うことで、季節を感じながら視覚・嗅覚・触覚といった感覚を優しく刺激できます。これは四季がある日本でしか得られない喜びです。

なにより、お花には大きな癒しを与えてくれる絶対的なパワーがあると思います。

いけばな05

◆いけばなの歴史、仏教との関係

では「草月流」の歴史について教えてください。

「草月流」は、1927年に初代家元・勅使河原蒼風先生によって創流されました。華道家だった父からいけばなの指導を受けて育った家元は、幼い頃から類い稀なる才能を発揮していたそうです。

しかし次第に型通りの「いけばな」に疑問を持つようになり、父から離れたことから「草月流」が生まれました。国内だけでなく海外でも精力的に活躍されるなど、「いけばな」を世界的な文化として広めた方です。

いけばなの3大流派として知られる「池坊」「小原流」「草月流」。その中でも「草月」はかなり歴史の浅い流派になりますが、軽快でモダン、自由でのびやかな作風は今の時代にマッチしていると思います。

いけばな06.1 確かに、伝統的な作品から目を引くアート作品まで幅広いと感じます。

私自身も、最初に草月に出会った時は「現代アート」という印象を感じて衝撃を受けました。花だけでなく、布や紙などを使用したりなど、個性を存分に表現できるというところに「なんて粋な世界なのだろう」と大きな魅力を感じたのです。

この感激を日々の生活に加えてほしい、生活の一部として「いけばな」を加えてほしいという「草月流」の思いに強く賛同しています。もともと「いけばな」は人の営みの中から生まれてきたものですからね。

「いけばな」の歴史を紐解いていくと、仏教の「供花」が由来だと言われていますから。

いけばな06.2 「供花(きょうか・くげ)」とはお悔やみ時の生花のことですよね。

そうです。仏教とともに日本に伝来した「仏前の供花」が起源だという説が有力なのだそうです。日本の伝統文化として継承されてきた華道・茶道・香道・能楽・庭園・連歌などの歴史を遡ってみると、どの文化も仏教との繋がりがあります。

なぜかココロやカラダが癒されるものには、仏教文化を感じることが多いと思います。

仏様へ手向けるお花が由来というのは、作法や佇まいからもとても納得できます。

仏教としての「供花」から、観賞するための「立て花(立花)」へと発展し、時代とともに変化や進化を繰り返して成長してきたものが現代の「いけばな」になるのでしょうね。

そういった歴史や仏教とのつながりを知っていると、より一層「いけばな」の世界を楽しむことができると思います。

いけばな06.3

◆「草月流いけばな」の魅力

あらためて「草月流」の魅力について教えてください。

「草月流いけばな」は“いつでも・どこでも・誰にでも”を特色としています。前述の通り、生活の一部として「いけばな」「お花」を加えてほしいということが「草月流」の思いになります。

四代目家元の勅使河原茜先生も「世界中のどんな場所でも、誰もがいけられるいけばなを目指す」とお話しされています。

先日、お花の記録をアップしている私のインスタグラムを茜先生がフォローしてくださり、驚き感激しましたが、この気さくで自由なスタイルこそ、私が「草月流」を愛してやまない理由なのだと、あらためて思いました。

いけばな07 敷居の高いイメージがなければ「はじめたい」と思う人が増えると思います。

レッスンに来られた方は皆「思い切って申し込みました」と言われることが多いのですが、ほとんどの方が「もっと早く始めればよかった」と言ってくださいます。

実際のレッスンも「草月流いけばな」では、まず「花型法(かけいほう)」を用いて学びますので、習い始めでも簡単に美しい「いけばな」をいけることができるんですよ。

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上記のイラストは、最初のレッスンで学ぶ花型「基本立真型・盛花」です。「いけばな」の美しい立体感を出すためには「真・副・控(しん・そえ・ひかえ)」の3本を整えることで仕上がります。

真・副・控(しん・そえ・ひかえ)、わかりやすいですね。
「草月流いけばな」では、ほとんどの花型でそれぞれの「真・副・控」があります。まったく「いけばな」をしたことがない人も、テキストどおりの「真・副・控」の位置に花をいけるだけで、素敵な作品に仕上がるのでビックリされますよ。

様々な花形を学んでいくうちに、基本的な技術と感覚が身につきます。すると次は、自分らしい作品を作り出すことが楽しくなり、どんどん自分だけの「いけばな」の世界が広がっていくという感じです。

立体と平面から「花型」を学ぶ。誰もがチャレンジできそう。
感覚やセンスは少しずつ積み重ねていけばいいですし、もし感覚やセンスを持つことが苦手だとしても、花型の「真・副・控」どおりにすれば素敵な作品を作ることができます。

他人と進み具合や優劣を比べることをしなくていい、自分のペースで楽しめる。そういったところも「草月流いけばな」をオススメしたい理由なのです。

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◆60歳から始めて師範を取得する人も

他人の目や優劣も気にならない。お子さんから年配の方まで楽しめますね。
実際に、私の教室も小学校中学年の子どもたちから60代の方まで幅広い層の生徒さんたちがいらっしゃいます。

昔は「お茶やお花は花嫁修行」のイメージが根強かったこともあり、若い方が圧倒的に多かったと思います。今も20代〜40代の方が中心ですが、最近は50代60代から始められる方も増えてきました。

50代60代の生徒さんが増えた理由は何でしょう?
私も気になっていたので、色んな方々に少し聞いてみました。

*定年を前にして何か始めたかった
*心が癒されることをやりたかった
*時間に余裕ができたから
*周りを気にせず、マイペースでできるから
*花のある生活で自宅が明るくなった
*他の習い事より家族や周囲からの印象がいい

などの様々な理由を教えていただきました。みなさん総じて「花のある生活がこんなに良いとは」「早く始めればよかった」と言っていただけます。これが講師として何より嬉しいです。 いけばな10 いけばな11 長く続けられそうな理由ですね。「周囲の印象が良い」というのも何となくわかります。

やりたくても長続きが難しければ意味がありませんよね。周囲から良いイメージを持ってもらえることも、長く続けられる理由のひとつだと思います。

人付き合いが苦手な人や不器用な人でも、周りを気にせずお花とだけ向き合うことができるところも、幅広い年齢層が楽しめる大切な要素です。「モタモタして若い人に迷惑をかけないか不安」という心配も無用ですから。

60歳からお稽古を初めて師範になる方もいらっしゃいますし、80代90代で活躍されている先生もたくさんおられますからね。

趣味としてだけでなく師範を目指せることも魅力ですね。

趣味や好きなことが仕事や生きがいにつながっていく。これこそ「生涯現役」といえるのではないでしょうか。とても素敵な人生ですし、目標にしたい生き方です。老若男女どこでもできる「いけばな」だからこそできるのだと思います。

もしもお花に興味があるならば、一度「いけばな」の世界を体験してみてください。準備がいらない、お花は消えもの、周りに迷惑をかけない、心が癒される、そして誰でもウェルカムな「草月流いけばな」を一緒に楽しみましょう。

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◆あとがき

以前は私も、華道への憧れを持ちながらも「大変そう」「続けられないかも」と諦めていた一人でした。

思い切って習い始めてから1年半、「なぜこんなに楽しいの?」「どうして長く休んでもまた行きたくなるの?」と自問自答するほどに続いています。仕事が立て込み、長く休んだとしても必ず行きたくなる。今までの習い事ではありえなかった疑問でしたが、「いけばな」の魅力を伺うことで綺麗に謎が解けました。

忙しい日々の中、絶対的な癒しを与えてくれるお花の世界にハマっています。まだまだ道のりは長いですが「師範証」をいただけるその日まで、今のままマイペースを崩さず、楽しみながら「草月流いけばな」を学びたいと思います。

( 取材・文:編集ライター 田鍋利恵 / イラスト:石川理沙 )

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