【建築家監修】リフォームの流れをくわしく教えて/60歳からのリフォーム建て替えQ&A ②

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定年世代や退職前後になり、長年住み慣れた我が家をふと見渡してみると、あちこち気になるトコロがいっぱい。

使わなくなった勝手口、修理をかさね騙し騙し使っていた水回り、段差の多い廊下、冬は寒く夏は暑いキッチン、結婚して家を離れた娘の部屋……

お隣さんや友だちも「リフォーム」したと言っていたけれど、損した話や失敗したという話も多そうだし。いろいろ聞きたいけれど、どこへ相談したらいいのかわからない!

そこで、リフォームのプロセス(流れ)や相談方法を建築家の金子智子さんにわかりやすく「Q&A方式」でお答えいただきました。




リフォームの流れや相談方法を知りたい

定年世代のリフォーム入門編2

Q. いざ相談へ!その前に準備したいことは?

A. 家の詳細、使えるお金を再確認しましょう。

【家の情報を把握する】
竣工図面があればベストですが、確認申請図を用意しておきましょう。また、可能でしたら構造図、電気図、設備図もあると便利です。

新築で家を建てた方は、引き渡しの際に「確認申請図」を受け取っていると思います。(1/100スケールの簡単な図面仕様書です)

中古で買われた方の場合、ご用意は難しいかもしれませんが、家についてできる限りのことを知っておくように努力しましょう。

【使えるお金の金額の目処をたてておく】
工事にかけられる金額の目処を決めずにスタートすると、必ず損をしてしまいます。あらかじめわかっていれば、見積もりの目も厳しくできますし、誤差にも敏感になれます。

よくわからないようでしたら、信頼できるファイナンシャルプランナーなどに家計診断を受けてみるのもオススメです。

Q. リフォームの一般的な流れを教えてください。

A. 相談から完成までの一般的なプロセスをご紹介します。

規模や内容はオーダーや予算によりけりですが、下記は私(金子智子建築設計室)へご相談をいただいた場合のプロセスになります。 ※注:建築家に直接相談したプロセスです。ハウスメーカー等とは異なります。

⑴ ヒアリング
要望・敷地の状態・予算・スケジュールなどを伺い、設計の流れや費用などを説明。(無料)
ご提案させてもらう場合には、詳しくご要望を伺います。

⑵ 現地調査
お宅へ伺い、現況を確認します。
その上でさらにご要望をヒアリングしてご提案いたします。
(ここから有料になります)

⑶ 基本企画の提案
ヒアリングした内容と現況を考慮し、間取り図・パース、もしくは模型でラフなプレゼンテーションを行います。

⑷ 設計契約
設計・工事監理契約を交わします。
ここから本格的にスタートします!

⑸ 基本設計
企画案をもとに、建主様と打ち合わせを重ねて調整・検討し、大まかな設計を固めていきます。
具体的な要望はもちろん、趣味やライフスタイル、大切にしているモノ・コトなど、多方面から伺ってイメージを形にしていきます。

⑹ 実施設計
基本設計を元に、詳細の設計図一式を製作していきます。
建具や家具のデザイン、照明・電気・設備などのスペックや位置も、建主様と打ち合わせを重ねます。
必要に応じてアドバイスやショールームへの同行なども行います。

⑺ 見積調整
相見積もりを重ね、適正な見積もりを見極めて工務店を選定します。
金額はもちろん、対応も含めて信頼できる施工会社を決定。

⑻ 確認申請の提出(必要な場合)
規模によっては確認申請書類に加え、構造計算書や各種計画書を製作して提出します。

⑼ 着工
(確認申請の許可がおりたら)建主様と施工会社で工事請負契約を交わし、工事スタートです。

⑽ 工事期間
構造や規模によって期間は変わりますが、週1回、設計者と施工者で定例打ち合わせを行い、進捗情報や内容確認をします。
建主様との打ち合わせも随時行います。

⑾ 竣工
役所等の完了検査を受け、施工者・設計者・建主様の検査で竣工状況を確認した上でのお引渡しとなります。
竣工後も必要に応じて検査を行い、不都合があればメンテナンスのアドバイスをさせていただきます。

定年世代のリフォーム入門編2

Q. 良いリフォーム会社、良い建築家を見極めるコツは?

A. 要望・質問にキチンと応えてくれること。

当たり前かもしれませんが、要望をしっかり聞いてくれる所です。

クライアントの希望と質問に真摯に応えることができないところで、良い結果が出るとは思えません。

さらに、良し悪しの判断は「今まで造ってきたモノを見せてもらうこと」がわかりやすいと思います。

見せてもらいながら「造られた経緯」について、突っ込んで質問してみてください。それで、だいたいの力量がはかれると思います。

加えて、空間を考えて造る人、設計ができる人が関わっているかどうかもポイントです。

定年世代のリフォーム入門編3

Q. こんな業者は要注意!というポイントは?

A. 契約を急ぐ業者には注意しましょう。

一番は、契約を急ぐ業者です。
その理由は、逃げられないようにするためです。

実際の家の状態や内容も見ず、カタログや平面図を見せただけで進めるなんて、本当に恐ろしい話です。

ですが、そういった方が多いことにとても驚いています。
ひとつひとつ納得の上で進んでいくのが、良いリフォーム・良い建て替えです。ゆっくりと着実に、楽しみながら進めていきましょう。

( 取材・文章/ライター 田鍋利恵 )


金子智子プロフィール
監修:金子 智子(かねこ さとこ)さん

一級建築士・東京都木造住宅耐震技術者・既存住宅状況調査技術者
  
金子智子建築設計室
一級建築士事務所
(東京都知事登録第49636号)
東京都木造住宅耐震診断事務所
(登録番号443号)

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