【建築家監修】リフォーム費用を知りたい/60歳からのリフォーム建て替え ⑤

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住み慣れた我が家を見渡してみると、あちらこちらに気になるトコロがいっぱい。コロナ禍以降、おうち時間も増えたから「リフォーム」「リノベーション」「建て替え」を検討したいと考えているけれど、どこへ相談したらいいのかわからない…という人のための「リフォーム・建て替え講座」シリーズ第5弾です。

今回は誰もが一番気になるリフォームの費用・金額についてご紹介します。引き続き、建築家の金子智子さんに監修いただき、費用の内訳などを教えていただきました。

コスト

リフォームで発生する費用の内訳は?

リフォーム・建て替え・リノベーションをする時、まずは見積もりを出してもらうと思います。その見積書に記載されている基本料金「リフォーム費用」の内訳をご存知でしょうか?

様々な工事や工程があることは何となくわかるけれど、専門家でない限り、その中身をくわしく把握している人は少ないと思います。そこでリフォーム等で発生する費用の内訳、主な項目と費用を一覧表にまとめてみました。

修正分_リフォーム等の項目と費用

<リフォーム・建て替え・リノベーションでの主な項目と費用>
● 仮工事/約30万円(※1)
  工事の足場作り、保護のための養生作業など
● 既存部解体工事/約80万円(※1)
  リフォームする既存部分の解体工事
● 外部工事/素材・仕様・工法によって大きく変動
  屋根や外壁を新しくする場合に発生
● 鋼製建具工事/約80万円(※1)
  鋼製アルミのサッシ、外部のサッシなど ● 内部建具工事/約30万円(※1)
  部屋内部の木製の建具部分(間仕切・トイレの扉など)
● 木工事/約150万円(※1)
  床・壁・天井の下地、木の骨組みなど木を使った工事
● 内装工事/約60万円(※1)
  クロス・壁紙、カーテンレールの取り付けなどの内装全般
● 左官工事/約60万円(※1)
  塗装、タイル貼りなど
● 電気工事/約60万円(※1)
  照明器具・電気の配線工事など
● 衛生設備工事/約350万円(※1)
  便器、ユニットバス、キッチンなど器具の工事
● 空調設備工事/約70万円(※1)
  エアコンや換気扇などの空調設備工事
● 雑工事/約30万円(※1)
  他、外溝工事、フェンス、木の伐採など、状況に応じて必要な作業

(※1)約30坪の住宅をフルリノベーションした場合の相場感。材料や仕様で変動します(全て税別・諸経費別)

上記は一般的な「リフォーム費用」として請求される内容の内訳です(※1)。リフォームやリノベーションの内容によって大きく変わってきますが、たくさんの工事内容が含まれています。

リフォーム作業の様子

見積もりの段階で「リフォーム費用」を一括りに出された場合、素人には何が必要なのか不要なのか検討もつかないと思いますが、それぞれの項目のちょっとした内訳を知っているだけでも大いに役立ちます。

何事も事前に勉強していくことが「損をしないコツ」になります。予算に合わせたリフォーム計画を立てるために、ぜひ参考にしてみてください。

「いやいや、サッパリわからないよ…」という方は、信頼のできる専門家や建築家さんに依頼して見積もりをチェックしてもらいましょう。無知識&丸腰で行ってしまうと、業者さんの思うツボになってしまいます。

場所別リフォームの相場観(相場感)を知りたい

次に、大規模な建て替えやリノベーションではなく、家の場所別リフォームについてピックアップします。

リフォーム依頼で一番多いのは、やはり水回りのリフォーム。使用頻度の高い場所ですから、経年劣化は避けられません。同じく玄関周辺のリフォームも注文の多い場所です。こちらも日に何度も使う所であり家の顔の部分ですから、綺麗にしたいですよね。

修正分_水回りリフォーム費用

<水回りリフォーム&内装リフォーム費用の相場観>
● お風呂/約70万円〜
  浴室をフルリフォームする場合の相場観です。
  浴槽・扉など部分のみリフォームの場合は値段が下がります。
● 洗面所/約40万円〜
  洗面所をフルリフォームする場合の相場観です。
  洗面台など部分のみリフォームの場合は値段が下がります。
● トイレ/約30万円〜
  トイレをフルリフォームする場合の相場観です。
  便座のみなど、部分リフォームの場合は値段が下がります。
● キッチン/約150万円〜
  キッチンをフルリフォームする場合の相場観です。
  流し台のみなど部分リフォームの場合は値段が下がります。
● 外壁/約80万円程度
  一般的な一軒家の補修・塗装を行った場合の相場観です。
● 玄関周り/約80万円〜
  一般的な一軒家の玄関周りリフォームの相場観です。
  扉のみ変更、段差解消などの部分リフォームの場合は異なります。
● リビング/約100万円〜
  約12畳のリビングをフルリノベーション(ある程度の家具造作含む)した場合の相場観です。
  サッシだけ変更、床暖房のみ追加などの部分リフォームは異なります。

(※注)約30坪の住宅をフルリノベーションした場合の相場感になります。材料や仕様で変動します(全て税別・諸経費別)

リフォーム後のトイレ
(画像提供:金子智子建築設計室 一級建築士事務所)

リフォーム費以外に必要になる費用は?

メインの「リフォーム費用」として請求される金額は、リフォーム作業の実質値段です。規模や場合によりますが、その他にも多くの費用がかかることを忘れてはいけません。例えば、設計費用、工務店さんへの諸経費(発注費・交通費など)や消費税なども必要になります。

全体的なリフォームをする場合は、仮住まい費用も考えておかなければなりません。その際は荷物の出し入れの引っ越し代が2回分必要になります。部分リフォームであればそこまでしなくても大丈夫ですが、水回りのリフォームの場合は外食費やお風呂(銭湯)費用も念頭に入れておきましょう。

リフォーム後の部屋①
(画像提供:金子智子建築設計室 一級建築士事務所)


リフォーム以外に考えておきたい費用

・設計費用
・工務店の諸経費
・仮住まい費用
・引っ越し費用
・外食費
・お風呂(銭湯)費用
・インテリア費用
 など ※リフォームの種類や規模により異なります。

適正価格で依頼するにはどうすれば良い?

誰もがちゃんとした適正価格で、信頼できる業者に頼みたいと思っていますよね。でも、いざ依頼する段階になると、安易に広告を見て決めたり、進められるまま任せっきりにしてしまう人が多いのが現状です。

それでは適正価格でリフォームを行うことは難しくなります。自らでしっかり依頼先を選別し、正しい段取りを踏んで進めることがとても大切です。

リフォーム後の部屋②
(画像提供:金子智子建築設計室 一級建築士事務所)


少しでもおトクになるコツはある?

リフォームも建て替えも、やるのであれば一気にやってしまった方がおトクになります。とりあえずトイレから…そのあとリビング、玄関、キッチン…という風にチョコチョコ依頼していると、少しのことでも職人さん1日分の工賃がかかります。設計や施工に関しても、別々よりも一緒の方が何かと融通も聞きますし、結果おトクになることが多くなります。

そして、必ず最初に何社か相見積もりを取ること。見積もりを依頼する際、それぞれ業者さんにたくさん質問を投げかけて話を聞いてみてください。直接いろいろ相談することで、信頼できる業者さんなのかどうか、何となくわかってきます。

設計を必要とするリフォームならば、やはり設計事務所に相談に行くことをオススメします。設計士や建築士は、工務店など全てのつながりを持っていますので、安心して相談することができます。一度つながりを持てば、ずっと相談できる心強い味方になってくれます。

注意すること・気をつけることは?

リフォームは手軽にできる(イメージがある)ので、残念ですが悪徳業者が多くいるのが現状です。また、悪徳業者とまでは言えないですが、基本料金は安くても、アレもコレもと上乗せして、故意に値段を釣り上げてくるところはたくさんあります。

提案力・金額・技術なども、業者によってかなりバラつきがあります。その見極めのためにも、何社かあたって比較検討することが重要です。

難しくて判断できない場合には、前述のとおり設計士や建築士に相談してみてください。適切なアドバイスをくれると思いますし、希望に見合った地元の業者さんを紹介してくれるハズです。

当然ですが、ハウスメーカーに行っても設計士や建築家はいませんし、規格内のモノしか提供されないことが多くあります。言われるがままに契約し、宣伝広告費が上乗せされた高いリフォーム代を払ってしまわないように気をつけてくださいね。



金子智子プロフィール
監修:金子 智子(かねこ さとこ)さん

一級建築士・東京都木造住宅耐震技術者・既存住宅状況調査技術者
  
金子智子建築設計室
一級建築士事務所
(東京都知事登録第49636号)
東京都木造住宅耐震診断事務所
(登録番号443号)

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