定年前後に両親や家族の介護が発生した。という方も少なくありません。
「何かおかしいな?」と感じた時に『地域包括支援センター』という相談できる場所があることを知っていますか?
「高齢者の総合相談窓口」として誕生した地域包括支援センターは、2005年の介護保険法改正で制定され、市町村が主体となって全国の各地域に設けている施設です。
現在、全国各地に約4,300か所。支所を含めると7,000か所以上設置されています。※2012年4月末時点
かなりたくさん設置されている地域包括支援センターですが、制定から10年以上たった今でも、「どんなところなのか」「何をしてくれるのか」を知っている人は少ないようです。
「もっと早く知っていれば・・・」と後悔しないためにも地域包括支援センターが設置された主な目的や役割についてまとめました。
地域包括支援センターって何をしてくれるの?
地域包括支援センターの具体的な役割は、大きく分けると次の4点です。
介護予防ケアマネジメント
要支援1・2と認定された高齢者や、支援や介護が必要となる恐れが高い高齢者が自立して
生活できるよう、介護予防のためのケアプランを作成します。
また、将来的に支援や介護が必要となる恐れが高い高齢者に対して「生活機能チェック」などを行い、市町村が実施している介護や引きこもり、口腔機能低下などの予防プログラムの紹介や参加支援を行っています。
権利擁護
住み慣れた地域で安心して暮らせるように、高齢者やその家族の様々な権利を守ります。
例えば、認知症などの病気が原因で、1人ではきちんとした契約ができない高齢者や、金銭管理に不安がある高齢者をサポートする「
成年後見制度」の活用を促進することで、高齢者が安心して利用できる制度の確立を支援しています。
また、虐待を受けている高齢者の早期発見や、保護などの機能も担っています。
総合相談
介護に対する相談や悩み以外にも、福祉や医療など、高齢者に関する様々な相談を幅広く受け付け、高齢者にとって必要なサポートやサービス、制度や機関を紹介しています。
包括的・継続的ケアマネジメント
現在生活している地域が、高齢者にとって暮らしやすい地域となるために、ケアマネージャーへの個別指導や相談、「地域ケア会議」などの実施や自立支援型ケアマネジメントの支援など。
様々な機関とのネットワークの構築や、連携・調整を行っています。
自身の両親や家族が高齢になり、自分1人では受け止められない。解決できない。といったことに悩む人は決して少なくありません。
自分の生活もある中、介護をしていくことは容易ではないだけに事前にこうした機関があることを知っておいて、いざと言う時には相談することが大切ですね。
介護・保健・福祉のスペシャリストたち
各センターには、介護・保健・福祉の専門職がサポートを行っています。
保健師もしくは経験のある看護師。
社会福祉士もしくは高齢者保健福祉に関する相談業務に3年以上従事した社会福祉主事。
主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)が在籍しています。
彼らがチームを組むことで、これまでたらい回しにされがちだった高齢者やその家族の相談を、センターが一括して受け止め、必要なサービスや機関などへつなぐことが可能になりました。
介護(主任介護支援専門員・主任ケアマネジャー)
介護保険を申請した結果、要支援1.2の認定を受けた方に対し、介護保険サービスを利用するための「介護予防ケアプラン」を作成します。
介護予防ケアプランとは?
介護保険を申請すると、より元気な状態の方から、要支援1.2、要介護1~5の7段階に分けられます。
要支援状態の方は、要介護の方に比べて日常生活における自立度が高いですが、将来的には要介護状態になる可能性があります。
「介護予防ケアプラン」は、介護保険サービスやその他のサービスの利用を調整するために作成されるプランのこと。
要支援状態の方が要介護状態にならないように、本人の力を活かし、不自由な部分だけをお手伝いすることで自立を妨げず、いつまでも元気に自宅での生活ができるよう計画を立てます。
保健(保健師・看護師)
高齢者が要介護状態にならず、住み慣れた地域や自宅で暮らし続けることができるように、情報提供やアドバイスを行います。
センターに来所された方や電話での問い合わせに応じるだけでなく、より多くの高齢者やその家族と接するため、地域の行事や老人会の集まりなどに参加し、積極的に出て行くことで、情報提供やアドバイスを行う機会を広げています。
簡単な体力チェックによって将来介護が必要になる恐れがある人を把握したり、自治体などが行っている健康教室や行事の情報提供、自宅でできる体操などを指導し、健康維持の大切さを伝えています。
福祉(社会福祉士・社会福祉主事)
高齢者を狙って高価なものを売りつける悪質商法や、身体的・精神的な虐待、経済的な虐待など、高齢者に関わる問題が年々増えています。
このような問題は高齢者に対する人権侵害であるため、高齢者の地域福祉権利擁護事業を行っています。
地域福祉権利擁護事業とは?
認知症を患っている高齢者や、判断能力が低下してきた高齢者に対し、地域生活が安心して送れるように、「紙オムツの支給」や「配食サービス」といった福祉サービスなどの利用に関する説明や紹介、アドバイスや契約のサポートを行うことです。
福祉サービスの利用援助と流れ
1.福祉サービスについての相談を受け、情報提供やアドバイスをします
2.サービスを利用するための手続きをサポートします
3.サービスの利用料の支払いをサポートします
4.サービスについて不満があるときは、解決に必要な制度の紹介や手続きをサポートします
5.1〜4の援助に関連し、年金の受け取り、医療費や税金、保険料や公共料金などの支払い、預金や貯金の出し入れなど、日常的な金銭管理を行います
高齢者虐待への対処
2006年4月より施行された「高齢者虐待防止法」のもと、高齢者が安心・安全に地域で生活できるように、必要であれば自治体や警察と連携して対応します。高齢者が実際に被害に遭ったことが確認された場合は、
民生委員や介護スタッフ、ケアマネージャーなど、その高齢者が関わる各関係機関に連絡し、被害を最小限に食い止めるよう努めます。
「もしかして・・・」と思ったら包括支援センターに相談!
地域包括支援センターに寄せられる問い合わせは、「利用できる施設や福祉サービスを知りたい」「介護に疲れて悩んでいる」といった介護の相談から、「高齢者が虐待されている」「成年後見制度とは何か」「高価な品物を勧められて契約してしまった」など様々。
高齢者に関わる相談がある場合は、お
住まいの地域を管轄している地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。
お住まいの地域を管轄しているセンターの問い合わせ先が分からないときは、役所の総合窓口で用件を伝えれば、担当している課につないでもらえます。
地域包括支援センターへの相談は無料です。
お身体が不自由な方には、自宅に訪問して相談に応じることもできますし、電話での相談も受け付けています。
もちろん、相談の内容や情報、秘密は厳守。介護・保健・福祉のプロたちが連携して、相談者に合った解決策や支援方法を提案しています。
具体的に高齢者に関する悩みや相談がある方、今悩んでいるわけではないけど、将来に不安を感じている方は、一度お住いの地域を管轄する地域包括支援センターを調べて、実際に足を運んでみてはいかがでしょうか。
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