<書籍紹介>浄土真宗のお寺の奥さん50人に聞いた お寺のリアル

記事を保存しました

「寺嫁」という言葉をご存知でしょうか?

お寺のお嫁さん、つまり僧侶の奥さんとなった方々が「寺嫁」と言われています。

僧侶の奥さんと聞いてどんなイメージを持たれているでしょうか。

僧侶の奥さんについて考えたこともなかった。という方も多いのではないでしょうか。

お寺とお付き合いがあれば、お寺はなんだかんだ奥さんが大切。と感じている方もいるかもしれませんが、お寺に馴染みがない方やお寺と付き合いがあっても出向く機会がない多くの方にとってはピンとこない存在かもしれません。

職業はまったく異なりますが、八百屋の奥さん、魚屋の奥さんといえばなんとなく

・商品販売
・仕入れ
・会計

といった店のことと

・妻
・母
・嫁

といった家庭面を想像できるのではないでしょうか?v
お寺の奥さんも大枠は同じで

・お寺
・家庭面

の両方を担うことが多いです。

1つ大きな違いは「仏教」を起点にした宗教施設がお寺なので、商いをしている家に嫁ぐのではなく、仏教を社会に広めていく活動をしている宗教者の家に嫁ぐ。という点です。

その特殊な環境からなかなか認知されていませんが、当事者になってみると情報のなさに驚き、実際に当事者になってみてから戸惑う方も大勢います。

そこで、寺嫁のみなさんが情報共有や学びの場がほしいという思いから作ったオンラインコミュニティ「お寺マダム」から昨年、書籍「浄土真宗のお寺の奥さん50人に聞いた お寺のリアル」が誕生しました。

お寺を支える寺嫁

筆者はお寺の生まれでもなんでもないただの一般人ですが、日本全国のお寺の活動支援を行っている職業柄、さまざまな寺嫁の方々とお会いする機会があります。

お寺の支援を行えば行うほど、「奥さんによってお寺は支えられている」と感じる機会が本当に多いです。

  • お寺の留守番
  • お盆やお彼岸など行事の際の準備や当日対応
  • お寺の清掃
  • 本堂のお花やお供えの管理
  • お参り応対

  • など書ききれませんが、奥さんの存在によってお寺が清潔で供養行事を実行し、困ったときにはいつでも連絡がつく体制づくりができています。

    この記事を読んでくださっている方で自分のお寺(菩提寺)に良い印象をお持ちの方がいれば、よく考えてみるとお寺の奥さんの存在が大きいと気づく方も多いかもしれません。

    しかし、お寺の奥さんが「お寺をもっとよくしたい。お檀家さんのためにできることがしたい。地域に溶け込んでいきたい。」と前向きな思いを持っていても

  • どうしていいのか分からない。
  • 寺院内でうまく意見が反映されない。
  • そもそも意見を言う場がない。

  • などの課題から悩みを抱えている方も少なくありません。

    また、家庭環境のことで課題感があっても同様に悩みを解決できないでいる場合もあります。

    例えば一般の方との結婚生活であれば

  • 夫婦共働きの悩み
  • 妊活の悩み
  • 子育ての悩み
  • 姑・舅との関係性の悩み

  • など悩みを共感し、課題解決方法を知る機会はオフライン・オンライン共に多く存在します。

    しかし、寺嫁は前述したように特殊かつ希少な存在なのでなかなか周囲に理解を求めることは難しく、ケースも様々なので1人で思い悩む寺嫁の方も多いです。

    そこで仏教の中でもいくつかある宗旨の1つ、「浄土真宗」の若手の寺嫁みなさんがオンラインで交流を図っているのが「お寺マダム」です。

    お寺の生活を知ること

    僧侶1人で檀信徒や地域に寄り添う姿勢を持った寺院運営を担うには限界がある中、お寺にとっても良いお嫁さんを迎えることは重要なことです。

    良縁は決して当たり前ではないにも関わらず、寺嫁がお寺の仕事と家庭の両立を叶えるためのサポートが得られるかどうか?は各お寺の僧侶(夫)や義両親の価値観に委ねられています。

    もし、価値観が合わないうえにサポートが得られにくい環境に嫁いだ寺嫁の悩みは決して軽いものではありません。

    そのため、「お寺マダム」で集まった「結婚前に事前に知っておきたかったこと」「悩みや今の状況」などリアルなお寺の奥さん50名の声をまとめた内容が書籍になりました。

  • 事前に知っておきたかった
  • 事前に確認しておけばなにか違ったのかも
  • と寺嫁のみなさんが感じたことが赤裸々に書かれています。

    事前に具体的なお寺の生活をイメージし、夫となる人や義両親や義兄弟、実両親など関係者と話し合いを行っておくこと。

    つまりコミュニケーションを取ることで寺嫁の多くの悩みが軽減されることに注目した本書は以下の構成で書かれています。

    【目次】
    ・はじめに
    ・第1章 お寺と僧侶・坊守(ぼうもり)の実態
    ・第2章 私のお寺での生活(5名)
    ・第3章 お寺の奥さん50人の声(アンケート結果より)
    ・第4章 現役坊守が思う「 結婚前に確認したいこと」
    ・第5章 4コマ漫画「寺嫁のすばらしき日々」× お寺マダム
    ・おわりに

    第4章 現役坊守が思う「 結婚前に確認したいこと」 では

    1. 住居タイプ
    2. 服装・言葉遣いの留意点
    3. 時間的拘束・プライベート

    など、30個以上の確認事項項目などもまとまったリストになっていて、僧侶との結婚を考えている方にとってかなり有り難い情報となることでしょう。

    まとめ

    たまたま好きになった相手、結婚を意識した相手が僧侶。

    「一体なにをすれば?」と戸惑う方が多い中で、情報があまりにも少ないまま嫁いでから「こんなはずでは・・・」と辛い日々を送る寺嫁の悩みを筆者も聞いてきました。

    実際に嫁いだばかりの若い寺嫁の方にどう引き継がれていくのか?を見ていてもコミュニケーションが不足していると感じることは少なくありません。

    しかし、お寺の婦人会ではなかなかそういった話もしにくい・・・といった実態があります。

    「寺嫁のためのコミュニティがあればいいのに」と考えていたところにオンラインコミュニティ「お寺マダム」の存在を知り、他の宗旨でもこういった活動があればより仏教界がよくなっていくのでは?と感じたため筆を取りました。

    この書籍を通して、現寺嫁の方やこれからお坊さんと結婚する方にはもちろんのこと、嫁を迎える僧侶自身、そして義両親の立場になる方々など寺院関係者に寺嫁の悩みを通して今のお寺の在り方もみなおしていくきっかけになるのでは?と感じています。

    また、檀家さんや寺嫁を親族や友人に持つ一般の方にも知っていただくことで、寺嫁とお寺の理解者が増えていくことも期待できます。

    寺嫁の立場にあるみなさん、お付き合いしている方が僧侶、または親族や友人が寺嫁といった方々にとって貴重な一冊。

    ご興味がある方はぜひ一度、お手に取ってみてください。

    浄土真宗のお寺の奥さん50人に聞いた お寺のリアル

    著者:お寺マダム、発行:2022年3月26日

    Amazon kindle[電子書籍] 680円(税込)/Amazon ペーパーバック[紙の書籍] 1,495円(税込)

    書籍の購入はこちら


    この記事を書いた人:エンパーク編集部 池邊文香

    関連する記事

    タグ一覧

    注目の記事【PR】

    あわせて読みたい

    ランキングRanking

    もっと見る