定年がない?主婦力が役に立つ、家事代行サービス「ベアーズ」

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最高齢は84歳!? 40〜60代の主婦が活躍中の仕事をご紹介!

2016年に“逃げ恥”と呼ばれ人気を博したドラマ、『逃げるは恥だが役に立つ』では、主人公である森山みくりが家事代行サービスの仕事をしていたことで、「家事代行」という言葉の社会的認知度があがりました。

家事代行サービスとは、家政婦の仕事を時間で区切ることで、家政婦より安価に家事をアウトソーシング(他社に依頼)できるサービスです。

言葉は知られても、どんな方がどんなふうにどんなお客様のところで働いているのかまでは、実はあまり知られていません。そこで今回は、株式会社ベアーズ マーケティング部長 後藤晃さんに、家事代行サービスについて詳しいお話を聞いてきました。

株式会社ベアーズ マーケティング部長 後藤晃さん

60歳からでも?定年年齢を超えても活躍できる!

「当社の登録スタッフさんは18歳〜84歳。メインボリュームは40代〜60代くらいです。家事代行サービスなので、家事のスキルが高い方のほうが、教育にかける時間も労力も抑えられるため、子育てが終わった方など、40〜60代の主婦歴が長い方の採用に力を入れています」

家事代行サービスの仕事は家事全般。メインとなるのは掃除ですが、洗濯、料理、買物など多岐に渡ります。

「当社ではまず、マネージャーがお客様と面会し、どういう家庭環境なのか、家の広さはどれくらいか、掃除道具が揃っているかなどの確認を行います」

マネージャーがお客様の要望をしっかりと聞き出した上で、ぴったりのスタッフをマッチングしています。

指名はできませんが、毎回違うスタッフだと説明の手間や時間がかかるだけでなく、セキュリティ上の不安もあるため、専任制を採用しています。万が一合わない場合は、交替もできます。

「お客様は、自分と同じような作法の家事ができて、なおかつ、自分よりクオリティが高い人を求めます。さらに、人によってきれいの定義がまちまちです。几帳面に細かくやってほしい方もいれば、家全体を広く浅くやってほしい方もいます。一方スタッフも、細かく丁寧にやるのが得意な人もいれば、素早く広く浅くやるのが得意な人もいるので、マネージャーによるマッチングが重要になります」

お客様が何を求めているかを推測し、どうしたら満足してもらえるかを考えて動くことが、家事代行スタッフには求められます。 「推測する力とは、思いやる力、配慮する力です。ご職業は何か、普段どういう生活をされているかなど、限られた時間でお客様の好みを考え、どこまでやるかを判断しながら作業をすることが大切です」

「家事代行」未経験でも大丈夫!2週間〜1ヶ月の研修制度

ベアーズではしっかりとした研修があるので、未経験者でも安心して働き始められます。

「まずは座学で、家事代行のしくみや会社の理念、お掃除の基本などを学びます。その後、挨拶や名刺の渡し方などのビジネススキル。あとは敷居をまたがないとか、床の間とはどんなものかなどの常識的な知識を身に付け、実地研修に入ります。最初は先輩スタッフの仕事を見学し、その後、教官と一緒に実際の仕事を行い、最後に独立研修では、モニターのお客様のところに1人で行き、依頼された仕事を行います」

モニターのお客様が点数をつけ、合格すると正式なスタッフになります。

「アイロンがけや料理は特殊技術が必要なので、別に1〜2日かけて研修を行います。料理は衛生面の教育や切り方、魚の捌き方などのトレーニング。アイロンは短時間でビシっとかける方法やきれいにたたむ方法などを学びます」

あくまでも家事の“代行”なので、掃除や料理に使う道具はお客様の家にあるものをお借りします。予めマネージャーが確認し、足りないものがあれば揃えてもらうようにお願いしています。料理の場合は、家にある食材や調味料を使って作ります。

「スタッフさんと話していて一番多いのが、『家で家事をしても全く褒められないのに、お客様からはものすごく感謝される』『とても助かった。あなたは家族の一員だわ!と言われた』など、『この仕事をしていて良かった』『こんなに喜ばれるならずっと働き続けたい』という嬉しい感想です」

確かに、褒められて、感謝されて、お給料までもらえる仕事は、世の中にそう多くはないかもしれません。

「みなさんやりがいを持って働かれているせいか、元気で活き活きとされていて、若々しい方ばかりなんですよ」

「お母さんのような人に来て欲しい」子育て世代を応援!

ベアーズは、1999年に現在の社長夫妻が設立した会社です。

社長夫妻は結婚当初、香港で第1子を育てていました。共働きでしたが、フィリピン人の家政婦のおかげで仕事と育児を両立することができました。

日本に帰国後、第2子を出産。家政婦を探しましたが、日本では当時、家政婦は住み込みで雇うのが一般的で、最低時給が世界と比べて高いため、家政婦を雇えるのは一部のお金持ちに限られていました。

「一般家庭でも利用できる家政婦派遣会社を作ろう。短時間の利用が可能になれば費用を抑えられる」。そう考えた社長夫妻は、ベアーズを設立。「家政婦の時間貸し」「家事代行サービス」という言葉を生み出しましたが、最初の数年は全くお客様がつかず、ビルの清掃やハウスクリーニングなどで会社を維持していました。

当時はまだ「家事を外に出すなんて恥ずかしい」「サボっていると思われる」という風潮が根強く、なかなか受け入れられませんでした。

「女性が結婚や出産後も働き続けることが当たり前の時代になり、風向きが変わりました。

『一億総活躍』と言いますが、それなら男性も家事をするべきです。しかし子育て世代は男女ともに忙しい。それなら「家事をアウトソーシングしよう!」という動きが強まり、ここ2〜3年で大きく変わってきました」

家事代行利用者の多くは、仕事と家事と子育てに追われる30代前後の共働き世帯です。

「『お母さんのような人に来て欲しい』というニーズが高いので、主婦を20〜30年やられている“ベテランお母さん”は大歓迎です。社会人経験の有無に関わらず、人と接するのが好きな方、明るく素直で『誰かのために何かしてあげたい』という方に、家事代行は向いていると思います」

家事は複数のことを同時にこなせる高い能力が必要です。そんな家事に何十年も携わってきた方なら、即戦力として活躍できるはずです。

「まだまだ日本は男性社会だからか、家事は複雑で難しいという認識が浸透していません。当社の理念は、『女性の“愛する心”を応援する』です。女性が毎日笑顔でいると、男性もハッピーになる。活き活きと働く女性が増えれば、日本の活力も増すと思います」

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ベアーズでは定年がなく、50代以上の登録者も増えています。

長年主婦をしている女性の中には、「私なんてとても…」と思う人が少なくありません。しかし、家事は高い能力と技術を必要とする立派な仕事です。主婦業を20年も30年もしてきた人には、それだけのスキルが備わっています。

「働きたいけど、自分には経験も資格もない」と思っている“ベテランお母さん”。自信を持って、60歳から家事代行サービスの扉を叩いてみませんか?

(取材・執筆:旦木 瑞穂)

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