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「お盆」といえば「お盆休み」として里帰りする人や旅行など、高速道路や空港などの混雑風景は、夏の風物詩ともなっています。
なぜお盆にお休みを取るようになったのでしょうか。今回は「お盆休み」の由来の一説をご紹介します。
お盆には、「故郷に帰省して家族、友人や親戚一同が集まり、ご先祖様のお墓参りをする」・・・そんなイメージを思い浮かべます。
お盆の起源は、仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」から生まれたという考え方が広く知られていますが、日本のお盆は、盂蘭盆会に農耕儀礼や先祖供養など古くからの風習が合わさって形作られたといわれています。
飛鳥時代、推古天皇の時代に、初めてのお盆の行事が行われたと文献が残っていることや、夏に先祖供養を行うという風習は奈良時代頃にはすでにあったと考えられており、地方によって風習は様々ですが、古くから、お盆の時期に先祖を供養するという考え方が受け継がれてきました。
現在の日本企業では、お盆休みとしてお盆の中日である8月14・15日を挟んで、前後3日~5日を休日にするというところが多く、お盆の週は1週間お盆休みという企業も珍しくなくなってきました。
このお盆休みという考え方は「薮入り(やぶいり)」や「閻魔の賽日(えんまのさいじつ)」からきたのではないかといわれています。
薮入りとは、1月16日と7月16日の年に2回、奉公人が主人から休暇をもらい、実家に帰ることをいいました。
「薮入り」という言葉の由来は田舎に戻る様子が、薮の深い田舎に入って帰る様子から「薮入り」と名前がついたようです。
本来の目的としては、外に働きに出ている者にも一族が集うお盆や正月の行事に参加させるためという意味もあったようです。この日は主人から小遣いが渡され、半年ぶりに家族の元へ帰ったのでした。昔の奉公人は年に二回しか休めなかったのです。
1867年出版の「日本の礼儀と習慣のスケッチ」に描かれた幕末期のお盆の様子(Photo:WikimediaCommons)
昭和40年代頃までは、東京のデパートやお店でも薮入りの日は休んでいましたが、時代の流れとともに「薮入り」という言葉と行事は忘れ去られていきました。戦後の集団就職の頃には今よりも一斉にお盆の時期に帰省ラッシュが見られました。
この「薮入り」の名残で、多くの企業がお盆の時期にはお盆休みがあると考えられています。また、お盆には先祖供養でお墓参りに行くといった慣習も影響しているのでしょう。
また、仏教では、この日を「閻魔の賽日(さいじつ)」といい、地獄の獄卒(ごくそつ)と呼ばれる、囚人を取り締まる役人さえも休む日とされていたため、奉公人も休むことになったといわれています。「地獄の釜の蓋もあく」という言葉を耳にしたことがある人もいるでしょう。
「お盆休み」「お盆に帰省する」という今では当たり前の文化も、このような文化的な風習からきていたんですね。
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