納骨堂のLINE見学予約受付中!動画解説付き【東京都港区の納骨堂/青山霊廟】
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今や、日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡しているといわれている「がん」。
1981年より日本人の死因の第1位となって以降、現在では年間36万人以上の人ががんで死亡しており、日本人にとって「国民病」といっても過言ではない状況となっています。
定年を迎える世代、50代・60代はまだ働いていたいのにがんになってしまった、という場合も少なくありません。
もし、がんになっても働き続けることはできるのでしょうか?
今回は、がん患者が直面するさまざまな課題を解決するためにがん経験者が設立した、キャンサー・ソリューションズ株式会社に務める高橋みどりさんに、がん患者の就労問題やがんと診断されたときの対応についてお話を伺いました。
2人に1人ががんになるといわれる世の中ですが、がんになった人の3割から4割の人は会社を辞めてしまうという現実があります。
「退職のタイミングは2つあります。1つは診断を受けた直後。これを私たちは“びっくり退社”と呼んでいます。あまりのショックで頭が真っ白になって、『仕事なんかしてる場合じゃない』と勢いで辞めてしまうケース。もう1つは、仕事の内容やがんのステージ、がんができた部位、治療の種類にもよりますが、治療や手術後に復職したけれど、治療が長引いたり、抗がん剤の副作用の辛さなどによって、『やっぱり無理だ』と辞めてしまうケースです」
がんになった社員への対策は、大企業は充実してきていますが、中小企業はまだまだ難しく、個人事業主に関してはまったくないのが現状です。
がんの治療は日進月歩です。どんどん新しい薬も開発されていますが、がんの治療にはお金がかかりますし、お金がないと治療も続けられません。そのためには働き続けられることが重要です。
「がんは年を重ね、細胞が劣化してくればなりやすくなるので、高齢化が進めば進むほどがん患者は増えてくる。老後の備えとして、『自分もがんになる可能性がある』という認識をみんなが持つべきだと思います」
高橋さん自身も、乳がんを経験したサバイバーです。
「私は父の介護をしていて、ちょうど危篤のときにがんと診断され、それから3週間後に父を看取りました。検査や葬儀の準備でスケジュール調整が一番大変でしたが、考える暇がなくて逆に良かったかもしれません。一通り検査が終わると手術日が決まって、どういう手術をするか説明を受けます。そして入院して手術して退院して、その後は定期的に検査のために通院となります。乳がんの場合、10年間は定期的に診察を受けることが勧められています」
家族には、どこに何があるか、銀行口座やパスワードなど、もしもの時のことについて話をしたといいます。
「がんのステージが1であろうが4であろうが、多分がんであるという診断を受けたときのショックはそう変わらなかったと思います。死についても考えました。そのときに備えて夫とも話し合いました。終活のエンディングノートを書いておくのと同じです。若い人だっていつ何があるかわからない。だから本当は元気なうちにやっておいたほうが良い。いつでも何がどこにあるかわかるようにしておくことは、とても大事なことだと思います」
がんになる前にできることは、保険に入っておくことや、一般的に健康に良いとされている食生活や適度な運動を取り入れること。そして、ある程度の年齢になったら検診を受けることです。
「一番みなさんに伝えたいのは、がんと診断されたからといって、『すぐに会社を辞めないで』ということ。がんと診断されるとショックを受けて、衝動的に会社を辞めてしまう人が多いのです。絶対にそれだけはしないでほしい」
高橋さんは強調します。
「自分が罹ったがんという病気がどういう病気で、これからどういう治療をするのかを整理した上で、『こういう配慮があれば働き続けられる』ということが分かってくれば、会社と相談して対処していくことができますから」
検査や手術で休むことが多くなるため、「会社に迷惑がかかる」と思う人も少なくないかもしれませんが、そこは「お互い様」。就業規則などのルールを確認しつつ、会社とじっくり話し合うことが大切です。
「1人で抱え込まないで、医療者でも患者会でもいいので相談できる先を探して相談してほしいです。当団体では就労相談を無料で行っているので、ホームページから予約してしていただければお話を聞くことができます」
できるだけ多くの資源を利用して、上手く情報を集めることが大切。1人で悩むのは禁物です。
「現在は医学がとても進歩していますから、がんになったとしてもすぐに死ぬわけではありません。だからまずはじっくり自分の病気と向き合って知ること、勉強することです。知識は武器になります。世の中にはいろいろな治療がありますが、あやしい治療に変なお金を使わないように。科学的根拠のある治療をきちんと受けてほしいです」
がんの診断を受けてから、がんという病気を知ろうと情報収集や勉強を進めつつ、今後の働き方について会社に相談するというのは、かなりの精神力が要りそうです。
「多分最初はそんなにいろいろできないと思うので、まずはお医者さんに言われたことを理解するように努めましょう。いろいろな説明をされるので全部理解するのは難しいと思いますが、少しづつ自分で消化していく。それが大事です」
がんについての情報は、それぞれの病気の患者会や国立がん研究センターがん対策情報センターのサイトのほか、キャンサー・ソリューションズが企画・制作している冊子などでも得られます。
「あとはやっぱり、お金ですよね。乳がんの場合、手術のための入院は10日前後です。現在は外来での治療が主となっているため、血液がんや一部のがんを除いては、入院期間がどんどん短くなっています。ですから入院に手厚い保険に入っていてもあまり役に立たない場合があるし、数日間入院しないと保険金が出ないものもあるので注意が必要です。通院を保証してくれるものや、抗がん剤の保証が付いてるものなどもあるので、今入っている保険を見直すことも大切です」
がんになってからでは保険には入れません。いざというときに使えない保険だったと分かったら大変です。
「治療にはお金がかかるので、一時金が出るものもありがたかったですよ」
病気に対する備えは多くの人がすでにしていると思いますが、いざとなると慌ててしまうものです。もしものときに備えて、保険の見直しや会社の就業規則の確認、家族との話し合いなどをしておくと安心です。
(取材・執筆:旦木 瑞穂)
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