エンスイーツ〜縁をつなげる美味しいお菓子〜 第1回「とらや」の羊羹

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エンパークオリジナル企画連載『エンスイーツ』は、定年退職後もご縁を大切に。をテーマに大切な方へのお土産や贈り物、気のおけない友人と会うときにぴったりのカフェなど、美味しいスイーツやお店を紹介するコーナーです。

第1回目は、羊羹で有名な老舗和菓子店「とらや」のやわらか羊羹「ゆるるか」と、2018年冬の限定商品「干支・御題菓子」を紹介。広報担当の早瀬さんに商品について伺いました。

やわらか羊羹「ゆるるか」

「いつまでも、美味しいものを美味しく食べたい」

これは多くの人にとって〝幸せ〟の条件の1つではないでしょうか。大好きだったものが食べられなくなるほど悲しいことはないと思います。

和菓子屋の「とらや」は、2017年9月7日に「やわらか羊羹 ゆるるか」の販売をスタートしました。


「ゆるるか」は食べやすさに配慮した食品「ユニバーサルデザインフード」の規格を取得。日本介護食品協議会が制定した食品の規格(「かたさ」や「粘度」によって4つに区分されている)の中で「舌でつぶせる」区分に分類され、かたさの目安としては「全がゆ」と同等。飲み込む力の目安としては「水やお茶が飲み込みづらいことがある」方を想定して作られました。

「やわらかい羊羹」と聞くと、「水羊羹のような感じかな?」と思われるかもしれません。しかし、実際に試食してみたところ、水羊羹よりもさらにやわらかく、滑らかな食感で、餡の風味がしっかりと感じられる羊羹でした。

室町時代の後期に京都で創業した同店は、後陽成天皇の御在位中(1586〜1611)より御所の御用を勤め、明治2年(1869)の東京遷都の際に天皇に伴って東京進出を果たした、伝統ある和菓子屋です。

そんな同店が高齢者について深く考え始めたのは2001年。

青梅市の青梅慶友病院で、入居者と家族のために和菓子製造の実演を交えた「和菓子の会」を開いたのがきっかけです。

その後、2013年には高齢者と高齢社会に対する理解を深める取り組みを開始し、「高齢者に対する最良のケア・サービスとは何か」という観点から青梅慶友病院のスタッフと議論したり、高齢者の心と体について学ぶ研修などを進める中で、2014年7月に「ゆるるか」の開発がスタート。配合や製造方法などを何度も見直し、約3年の月日を経て完成しました。

とらやの「優しさ」が詰まったお菓子「ゆるるか」をお年を召した方がいる場への手土産にすれば、縁がより深まりそうですね。

2018年冬の限定商品「御題・干支菓子」

同店では毎年、歌会始のお題と干支にちなんだ羊羹やお菓子を考案してきました。

「歌会始」とは、参加者たちが共通の題で歌を詠み、その歌を披講する「歌会」のこと。その中でも、天皇によって開催されるものを「歌御会」といい、年の始めに開かれるものは「歌御会始」と呼ばれていました。

大正15年(1926)以降は、「歌会始」と改められ、今に至ります。2018年(平成30年)の歌会始のお題は「語(ご)」と発表されました。

また、その年の「歌会始」のお題にちなんで考案されたお菓子を、「御題菓子」と言います。

1874年(明治7年)までは皇族や側近などで行われていた「歌御会」に、国民の参加が認められるようになりました。

「歌御会」が身近なものになってきたことを受けて、1888年(明治21年)、京都の上菓子屋の有志が集まり、お題にちなんだお菓子の展示会を開催。これをきっかけに、「歌御会」のお題にちなんだお菓子をつくる店が増えていきました。

同店では、古くは1907年(明治40年)に、お題「新年松」にちなんだお菓子を天皇に納めていたことが記録に残っています。

御題羊羹や干支羊羹は、1933年(昭和8年)より毎年社内公募で決定されています。製造だけでなく、販売や事務の社員も応募ができるため、毎年楽しみにしている社員が多いイベントだそうです。

それでは、2018年の「御題・干支菓子」を見てみましょう。

御題羊羹 『吉事の雪(よごとのゆき)』(販売中〜2018年1月中旬まで販売)


2018年歌会始のお題「語」にちなんだ羊羹で、吉兆である新年に降る雪のように、良いことが重なることを願う『万葉集』の最終歌「新あらたしき年の始の初春の今日降る雪のいやしけ吉事」より想を得ました。

古の人々が、吉兆である新年の雪を見て喜び語り合う様子を思わせます。

干支羊羹『春戌(はるいぬ)』(販売中〜2018年1月下旬まで販売)


『春戌』は2018年(平成30年)の干支「戌」にちなんだ羊羹です。緑の煉羊羹は草木が芽吹き始めた春の庭を、黒の煉羊羹は犬の横顔を表しています。麗らかな陽気の中、のんびりと過ごしているかのような犬の意匠からは、穏やかな春の訪れが感じられます。

『干支パッケージ小形羊羹』(販売中〜2018年1月上旬まで販売)


『夜の梅』(小倉羊羹)、『おもかげ』(黒砂糖入羊羹)、『新緑』(抹茶入羊羹)の3種類を、干支「戌」のパッケージで用意。 和風でありながら華やかで、柴犬の仔犬の素朴な可愛らしさがよく表現されているパッケージは、このためにデザイナーが描いたイラストを採用しています。

「とらや」の和菓子にかける想い

同店は、原材料の調達から製餡、菓子の製造、流通、販売まで、全て自社で行っています。特に、原材料は良質な国産のものを用い、餡は、羊羹用、最中用、生菓子用など、商品によってそれぞれ合うものを作っています。

白餡に使う白小豆の主な産地は群馬県・茨城県で、すべて契約栽培。しかも、虎屋独自の品種。同店の白小豆の契約栽培の歴史は古く、1927年(昭和2年)に始まりました。

「『和菓子は五感の芸術』と言われており、意匠や味わいはもちろん、口に含んだときの食感や、ほのかな素材の香り、そして菓銘(菓子の名前)もお楽しみいただけます。御題・干支菓子は、どれも寿ぎの思いが込められております。特に、菓銘に込められた意味に注目し、お客様ご自身のイメージを膨らませていただいたり、思い出などを語らっていただいたりするきっかけなれば幸いです」(早瀬さん)

「ゆるるか」は、子どもから高齢者まで、どんな方が食べても美味しい羊羹。中形サイズの羊羹は、少人数の家族や集まりに。

小形羊羹は、少量づつ色々な味が楽しめます。干支羊羹は、「自分や大切な人の干支だから」という理由で購入される方も多いそうです。

紹介した商品は、一部店舗とオンラインショップで販売。ただし、「ゆるるか」以外は、限定販売商品なので、なくなり次第終了します。

お世話になった方への御歳暮や年始の挨拶、親戚や友人たちとの語らいのひとときにぴったりの『エンスイーツ』。気になる方は、お近くのお店やオンラインショップを覗いてみてはいかがでしょうか。

とらやオンラインショップ

www.toraya-group.co.jp/onlineshop

(取材・執筆:旦木 瑞穂)

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