母の認知症・病気、葬儀を終えて

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我が家の供養

手術をする?しない?

母は80代後半で認知症になり、96歳で静かに息を引き取りました。

私は5人兄弟ですが、他の兄弟はみんな遠方に住んでいて私がずっと母の傍で介護を続け、最後の瞬間まで見届けました。

法事ではそれぞれが母の介護の思い出を語り合うことが、兄弟の恒例行事になっています。

そんな風に母の死を、兄弟がみんな穏やかな気持ちで迎えられたのは、生前の一つの出来事がきっかけです。

心臓にペースメーカーを入れていた母は、95歳のときに入れ替え手術の時期を迎えました。

認知症が進行する様子を見てきた私は、自然に任せて寿命を全うすればよいと思い手術を反対したのですが、兄弟たちは「長く生きられるなら手術してほしい」と言います。

電話ではらちが明かないので、みんなで集まり話し合いました。

兄弟の絆を強めた介護経験

手術について医師に相談すると、「お母さんは、こんなに子どもたちに思われて幸せだね」と笑顔で言われました。

先生の一言をきっかけに私たちは手術を決め、10日間の入院期間は交代で母の世話をしました。母の現状を知ってほしくて、私から全員で世話することをお願いしました。

母は手術の翌年に亡くなりました。

寿命からすると、手術の必要はなかったかもしれません。

ただ、あのとき兄弟みんなで母の介護をしたことが、私たちにとってかけがえのない経験になりました。

「よかった。母さんの世話ができて」と兄弟みんなが言い、母の人生は幸せだったと感じられたことで、私たちは救われました。

どんなに生きていてほしいと願っても、年老いた親の死は避けられません。

認知症や病気を発症したときに、いかに向き合うかが大切なのだと母のことを通して知ることができました。

Y・Yさん(岩手県・70代)

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