【FP・社労士監修】定年世代が知っておきたい保険とお金<定年後に損をしない失業保険>

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定年世代が気になる定年退職後の保険やお金、制度や手続きのこと。できるだけスムーズかつ損しないやり方で進めたいけれど、わからないこといっぱいありますよね。

そこで今回は定年後の失業保険(雇用保険)について、一線で活躍するファイナンシャルプランナーさん、特定社会保険社労士さんに伺いました。

マネー講座 失業保険3

定年退職後に「失業保険」がもらえる? 仕組みや手続きは?

【質問1】退職後に失業保険を受け取れるってホント?

はい、本当です。

定年退職後も「雇用保険」いわゆる「失業保険」を受け取ることができます。

現在、会社は60歳での定年後も65歳まで継続雇用することが義務付けられています。継続雇用をせず、「別の会社で働きたい」「少し休んでからまた働きたい」という人の場合は必要な手続きを行うことで雇用保険を受給できます。

この場合、離職した年齢が

  • (1)65歳未満の場合は「基本手当」
  • (2)65歳以上の人は「高年齢求職者給付金」

という雇用保険給付になります。

(1)の『基本手当』は、条件によって最短90日~最長150日を4週間ごとに分けて支給されますが、(2)の『高年齢求職者給付金』は、雇用保険被保険者期間が1年未満の場合は基本手当日額の30日分、1年以上の場合は50日分を「一時金」で支給されます。

【質問2】定年退職後の雇用保険(失業保険)の受給条件は?

受給には一定の条件があります。

  • ① 離職していること
  • ② 定年退職前2年間に「雇用保険被保険者期間」が通算12か月以上あること
  • ③ 就職する意思と能力があること(求職活動をしていること)

また、定年退職の離職理由によって給付日数が変わってきます。

定年時、継続雇用が可能だったにも関わらず離職した場合などは「自己都合退職」となります。

継続雇用を希望したけれど、会社倒産あるいは就業規則等で定める解雇事由に該当したため離職する場合は「会社都合退職」となります。この場合、上記②は退職前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上と短縮されます。

「自己都合退職」は受給前の「給付制限」が3か月あり、また給付日数が大幅に減ることになります。

※但し「自己都合退職」の場合でも、パワハラなどの職場が原因であることがハローワークで認定されれば、「会社都合退職」と認められる場合もありますので相談してみると良いでしょう。

【質問3】退職後の雇用保険(失業保険)の手続き方法や注意点は?

受給するための手続きはハローワークで行います。離職票やマイナンバーカードなどの必要書類を持参して手続きを行います。

必要書類
  • 雇用保険被保険者離職票(退職した会社に記入してもらう)
  • マイナンバーカードまたは通知カードまたは個人番号が記載された住民票
  • 身元確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・資格証明書など)
  • 写真(上半身正面)2枚/サイズ縦30mm横25mm
  • 印鑑
  • 預金通帳またはキャッシュカード(本人名義)
※詳細はハローワークに確認してください

受給期間は、原則として退職日の翌日から1年間となっています。

手続きが遅れると、給付日数を過ぎてしまった分はもらえないことになってしまいますので、なるべく早く手続きすることが大切です。

ただ、「定年退職後、少しゆっくりしたい」等の理由がある場合、延長申請を行うと最長2年間とすることもできます。

「基本手当」については、原則4週間ごとに1回、就労の有無や、求職活動の実績などを確認して失業の認定が行われます。

認定を受けた日数分の手当は、1週間ほどで預金口座に振り込まれます。

マネー講座 失業保険1

「雇用保険(失業保険)」の受け取り方法で損得はある?

【質問4】雇用保険を「すぐ給付する場合」と「先延ばしにする場合」どう違う?

雇用保険は、受給期間が最長1年間となっています。

ですから、雇用保険を受給することを決めているのであれば、先延ばしすると給付日数によっては、無効となってしまうケースもありますのでオススメできません。

ただ、定年退職後に雇用保険を受け取る場合には、絶対にお得か?といったらそうとは言い切れません。メリット、デメリットがあります。

【質問5】メリットとデメリット?どちらがお得なの?

定年退職をして雇用保険を受け取った時のメリットとデメリットをあげてみました。

<メリット>
  • ① 毎月一定の収入となる
  • ② すぐに就職が決まっても「再就職手当」として最大70%の額を受け取れる
  • ③ 雇用保険は、所定給付日数に達するまでは何度でも受け取れる
  • ④ 所定の職業訓練に無料で通うことができる
<デメリット>
  • ① 無職(求職中)という肩書になり、長くなると再就職に不利になるかも
  • ② 実務経験、キャリアが途絶えてしまう恐れがある
  • ③ 自己都合退職の時、特定の理由(例:病気等)がない場合は3か月の給付制限期間があるため、すぐにお金は振り込まれない。3ヶ月を待つよりも、再就職を考えた方が良いこともある
  • ④ 雇用保険(基本手当)を受給する間は、年金を受け取れない

雇用保険をもらうかもらわないか、迷うところではありますが、まず「会社都合退職」であれば、最低でも90日以上は受け取ることができるため、すぐに受給する方がお得ではないでしょうか。

一方「自己都合退職」の場合は、受け取れるのは3か月の給付制限期間後ということを考えると、再就職可能であれば雇用保険をもらわない選択肢もありかもしれません。

また、雇用保険受給期間は高年齢求職者給付金を除き、年金を受け取ることができません。ですから年金を65歳より前に繰り上げて受け取りたい場合には注意が必要です。

雇用保険(失業保険)の仕組み、手続きをしっかりと把握して、定年退職後の再就職や生活に役立てましょう。

雇用保険(失業保険)についての問い合わせは、お近くのハローワークの窓口やホームページでも確認できます。

<ハローワークインターネットサービス>
雇用保険手続きのご案内
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_guide.html

専門家監修者長谷部さん
監修者:長谷部 真奈見(はせべ まなみ)

株式会社 FinCube 代表取締役
ファイナンシャルプランナー
株式会社 Studio7 代表取締役
フリーアナウンサー
株式会社 FinCube
https://fincube.co.jp/

監修アドバイザー:大関 一(おおぜき はじめ)

千代田事務所
特定社会保険社労士
特定行政書士
https://fincube.co.jp/

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