定年世代の学びの挑戦「大人の留学」

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人生100年時代といわれる昨今、新たな活動を始める50代前後の方が増えています。

その中のひとつが留学。学生時代にできなかった方、社会人になってから海外旅行に出かけるようになり、「海外で生活してみたい」と思うようになった方などが、定年や子どもの独立で、時間的にも金銭的にも余裕ができたことをきっかけに「留学してみよう」と考える方が少なくないようです。

大人の留学1 今回は、株式会社留学ジャーナル 代表取締役副社長 加藤ゆかりさんに、シニアの留学についてお話を聞いてきました。(黄色い服の写真は加藤ゆかり副社長、ほかはシニア留学体験者の原田ひさよさんです)

50代以上の留学は増えている?!

1971年の創業の留学ジャーナルは、これまで20万人以上の留学生を海外に送り出してきました。

そんな同社は2015年、20代以下の若者と一緒に学ぶことに抵抗がある30代以上の方向けに、いろいろな国の同年代の者同士で学べるコースを集めた、「大人の留学」という留学パンフレットを作りました。

「当社にコンタクトをいただいているお客様で、2015年〜2017年の40代以上の数を調べたところ、3年間で着実に増加しています。中でも60代以上は、2016年から2017年にかけて2倍ほどに増えました」

2017年の年代別出発者の割合は、20代が6割以上ですが、全体の約1割を50代以上が占めています。

「この世代は、大卒の方は英語の勉強をそれなりにしっかりしていますし、バブルも経験しています。男性は仕事で時間的余裕が無いですが、現在よりいいお給料をもらって貯蓄もしていた世代。女性はお金も時間もあり、旅行はちょこちょこ行っていて、子どもが独立したら長期滞在をしてみたいと考えていた方も多いのではないでしょうか。当社が『大人の留学』を出したのは2015年ですが、その1〜2年後には大手旅行会社もシニアに特化した留学コースを出し始め、以降、全体的にシニア留学者の数を増やしている印象があります」

年々留学が身近になってきていることも一因にあります。

「きっかけはやはり定年退職や子どもの独立が多いです。お子さんの留学をきっかけに、『自分も』と思われた方もいらっしゃいます。留学の目的で一番多いのは『語学の習得』ですね」

習得後は、「世界を旅したい」「移住したい」「外国人留学生を受け入れたい」などさまざまです。「せっかくの機会なので、東京オリンピックで外国人観光客の役に立ちたい」という方もいるようです。

「60代だとまだ夫婦ともに元気な方が多いですが、あまり遅くなると体力的に難しくなります。女性の場合、旦那さんのことや親の介護など、やらなくてはならないことが出てくるので、『今のうちに』という考えの方も多いと思われます」

どんな人がどこの国にどれくらい留学しているか?

全く英語ができなくても留学はできるのでしょうか。

「ある程度基本ができている方のほうが足を踏み出しやすいですし、当社に来られる方は、『学生時代は英語が好きでした』『話すほうは自信がないから会話を頑張りたい』という方が大半です。お客様からの相談は、『授業についていけるでしょうか?』ということより、『留学って若い子のものでしょう?浮いちゃわないかしら?』みたいな相談が多いです」
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会話ができなくても、簡単な英文なら辞書を引きながら読める程度の力があれば大丈夫のようです。

「留学に年齢は関係ありません。日本人は若く見られることが多いですし、最近は現地の学校も『大人の留学』のように、30代以上、40代以上など、年齢の下限を設けてクラスを開講するところが増えています。これは、世界的にもシニアの需要があるということだと思います」

ミドル・シニアに人気の留学先は、過ごしやすさを重視する方にはオーストラリアやニュージーランド。音楽や文学が好きで、外国文化を重視する方にはイギリスです。

「2週間程度の短期留学が多く、長くても8週間以内のケースがほとんどです。オーストラリア、ニュージーランドなら3ヶ月、カナダ、イギリスなら6ヶ月までなら観光VISAでも行きやすいので人気があります」

50代以上の方の場合、最初から長期間行くとなると健康面で不安があるため、とりあえずお試しで短期間行く方が多いようです。「短期間で面白かったとなると、『次は長期』とおっしゃる方もいますが、『また来年短期で行くわ』というリピーターの方のほうが目立っている印象です」

若い頃の留学と方法や準備、心構えに違い

ここ数年で、世界的に見てもミドル・シニア向けの留学コースが増えているようですが、若者の留学と違いはあるのでしょうか。

「特に違いはありませんが、年配の男性の中には、異文化を受け入れる柔軟性を失っている方もいます。そういう方には、『凝り固まった考え方を解きほぐしてから行かないと、せっかくの留学が楽しめませんよ』ということはお話しています」
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帰国後に細かくレポートを書いて提出してくれるシニアの方が多いそうですが、レポートが愚痴になっていることも稀にあるのだとか。

「例えばホームステイ先の食事で、スーパーのお惣菜をパックのまま出されたとか。学校まで行くバスを待っていたら、10分も遅延したせいで遅刻した。など、日本と同じサービスを期待すると、ギャップにストレスを感じる方もいるようです」

レポートに書かれた問題は、同社が解決できるものであれば解消しています。

「留学の相談や申込みは、旅行代理店に旅行の相談や申込みをするのとほぼ変わりません。いつ頃、どこへ行きたいか、何がしたいかなど、プランを立てるための要素をお聞きして、ご要望に合う学校を紹介します。数ヶ月余裕がある方、急に休みが取れたから行きたい方、いろんなケースがありますが、『こういう準備ができるなら大丈夫ですよ』といったアドバイスをしています」

留学について相談できる専任のカウンセラーと、出願などの手続き専門のカウンセラーの2名で、帰国までサポート。万が一現地でトラブルがあっても、24時間365日、緊急時に日本語で相談できる無料電話相談「スチューデントプロテクションサービス」があるので安心です。

「『いつか留学したい』と考えている方は、少しでもいいので語学を勉強しておいたほうが良いでしょう。具体的なことが決まっていなくても、留学についてわからないことがあれば、いつでも相談に来ていただいて構いません。カウンセリングセンターでは、無料セミナーも行っています。『何を聞いたら良いかも分からない』という方には、当社が年2回、東京・名古屋・大阪・広島・福岡で開催している留学フェアがオススメです。『みんなはどんなふうに留学しているのかな』ということを知るだけでも面白いと思います」 大人の留学4

身近になり、気軽に行けるようになった留学。

世界の学校が50代以上のコースを提案しているということは、世界的に高齢化しているということ。それは、日本のミドル・シニアが海外に出ていっても、外国の同世代と交流できる機会や可能性が高まっているということです。

「いつか留学したい」と考えている方は、定年後と言わず、今から情報を集めるだけでも遅くありません。同社のカウンセリングセンターや留学フェアを覗いてみてはいかがでしょうか。

取材・執筆 旦木 瑞穂

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