会社員時代よりやりがいを感じる?!50代60代70代が活躍する「グランドシッター」とは?

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グランドシッター1
(写真提供:株式会社BOA)

新聞やテレビなどマスコミにも多く取り上げられ、多方面から注目を浴びているグランドシッターというお仕事をご存知ですか?

一言でいうと「保育士さんや子育て現場のサポートをするお仕事」になりますが、育児経験がほとんどない年配の方々が保育現場でお仕事できるの?…と思う方も多いでしょう。

そこで今回は、民間資格グランドシッターの養成講座を主催する「一般社団法人日本ワークライフバランスサポート協会」の武市海里理事長に、グランドシッターとは実際にどんなお仕事か、どうすればなれるのかなどを詳しく伺ってきました。

お話を聞いた専門家

武市海里(たけいち みどり)さん

グランドシッター武市代表

  • 株式会社BOA 代表取締役社長
  • 一般社団法人 日本ワークライフバランスサポート協会 理事長
  • 産業カウンセラー、保育士

愛知県出身。ファッション業界でマーケティング・営業販促などを経て管理職・役員を務めるも「86歳現役をめざす」という思いから55歳で早期退社。経験を生かして2005年に産業カウンセラーのためのセミナーを企画運営するBOAルームを主宰。2010年に株式会社BOA設立。2015年に保育人材育成と紹介やコンサルタント事業を行う一般社団法人 日本ワークライフバランスサポート協会を設立。2017年には「輝く女性起業家16人」に選出されるなど、働く女性を応援する活動を幅広く行っている。

グランドシッターとは、忙しい保育士・学童保育をサポートするお仕事です

グランドシッターのお仕事について具体的に教えてください。
グランドシッターは、保育園や託児所、学童保育などの現場で、保育士や指導員のサポート業務・お手伝いを行うお仕事です。

仕事内容は、園内や散歩時の見守り、子どもたちの相手、用務員的なお仕事など多岐に渡ります。

子育ての現場に携わるという大きな責任があり、「未来ある子どもをみんなで育てる」「次世代を育成する」という目的を持ったやりがいのある素敵なお仕事だと思います。

平成28年には厚生労働省の厚生労働白書にも、人口高齢化を乗り越える社会モデルとしてグランドシッター(グランドシッター養成講座)を紹介していただきました。

定年世代雇用と子育て支援の両面から求められるお仕事ですね。
そうですね。グランドシッターの方には若い世代を支えられるやりがいや喜び、安定した収入、働き続ける場所ができることがメリットだと思います。

グランドシッターをご紹介した保育現場からも「仕事が丁寧で包容力があり頼れる存在」「スタッフ同士が挨拶をするようになった、行儀が良くなった」「人生経験豊富で信頼できる」など、喜びの声をたくさんいただくなど、とても好評です。

「みんなで子どもを育てる社会」をつくるための大切な役割を担うお仕事だと思っています。

グランドシッター2
(写真提供:株式会社BOA)

グランドシッターという名称も素敵です。
グランドシッターは「グランパシッター(男性)」「グランマシッター(女性)」の総称として名付けました。ありがたいことに多方面から素敵な呼び方だねと言っていただきます。

もうひとつ、G.G(グランドジェネレーション)の「グランド」という意味も含まれています。

定年世代の知恵と経験「グランドジェネレーション」を活かせる

G.Gグランドジェネレーションとは?
グランドジェネレーションとは、グランドファーザー&マザー世代のことを表しています。いわゆる、おじいちゃんおばあちゃん世代ですね。

現代の子どもたちは、情報は豊富だけど生きていくための知識や経験が不足していると思います。昔は大家族の中で、おじいちゃんやおばあちゃんに教わることが多かった学びも、受けられなくなっていますよね。

豊かな人間形成を築くためには、多様な世代と関わることが大切だと思っています。ですから次世代を担う子どもたちの成長には、グランドジェネレーションの経験や知恵が必要だと考えます。

長年培ってきた社会経験を、子育て支援の分野で活かせたらどんなに素敵だろうと考えながら、グランドシッターというお仕事を広めていますよ。

グランドシッター3
(写真提供:株式会社BOA)

前述の「スタッフ同士が挨拶をするようになった、行儀が良くなった」にもつながりますね。
社会経験を積んだグランドシッター世代は、挨拶や言葉使いがきちんとできる方が多くいらっしゃいます。

「おはようございます」「お疲れ様です」と自然に大きな声で言う姿を毎日見ていると、若い方々も自然に真似するようになるみたいです。

また、人を立てる術も心得ているため、「自分は新人だ」と思っているグランドシッターさんは、早めに登園して準備をしながら先輩保育士たちを待っている…などのようなこともあるそう。

保育園がどんどん良い方へ変化することを感じて、「感謝しかない」と言ってくださる園長さんもいらっしゃいますよ。

しかし、仕事一筋でやってこられた定年世代の方々が、保育の現場にすぐに入れるものなのでしょうか?
現在の60代70代男性は、子育てや家のことは奥様に任せて仕事一筋でやってこられた方がとても多いですよね。

たとえ子育てに参加していたとしてもかなり前のことですし、お孫さんの相手も実際の保育現場とは少し違いますから、興味を持たれても「大丈夫かな?」「できるのか?」と心配になるのは当然だと思います。

そんな方々のために「グランドシッター養成講座」を開催しています。

ノウハウは「グランドシッター養成講座」でしっかり学べる

グランドシッター養成講座について教えてください。
子ども、孫などの次世代とのコミュニケーションが上手にとれる方法や、保育園などで保育士をサポートできる人材を育成する講座になります。

講師を担当するのは、保育園の元園長や現役保育士たちです。豊富な経験や知識を持つ講師から、年齢や発達の状況に応じた子供への接し方を具体的に学ぶことができます。

二日間の受講後には、民間資格「グランドシッター認定証」をお渡しいたします。その後、お仕事探しのサポートも行いますよ。

グランドシッター5表
グランドシッター5

グランドシッター認定証、仕事探しのサポートもあるのですか?
認定証を受けていただいた方は、私たちがグランドシッターとして活躍できるお仕事サポートをしっかり行いますのでご安心ください。

もともと保育現場の深刻な人手不足の現状をなんとかしたいと思ってスタートした取り組みですから、講座で勉強していただき、保育の現場へお繋ぎするまでが私たちの務めだと思っています。

また、講座の最後に認定証をお渡しする修了式を行い、記念撮影をするため「同期生」としての交流が生まれることも多くあります。いつも楽しい雰囲気に包まれますよ。

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(写真提供:株式会社BOA)

保育の現場の人材不足は深刻ですよね。だから保育園・託児所も増えない。
箱ばかり作っても、人材がいないことには意味がないですからね。といっても急に国家資格の保育士さんを増やすことも難しい。ですから保育士さんをサポートするたくさんの人材が必要なのです。

今は保育園だけでなく、民間の託児施設、ショッピングセンターなどの商業施設の預かり所、企業内の託児所など、保育の現場は多種多様です。

この「グランドシッター認定養成講座」では、それら企業様に講座スクールパートナーとして多数ご賛同いただいていますので、認定後も丁寧にサポートいたします。

グランドシッター養成講座にはどんな人が参加しているの?

実際に、どんな方々が講座に参加されていますか?
参加される年齢層は60代半ばの定年退職前後から80代の方まで幅広くいらっしゃいますが、最近は40代や50代の現役世代の参加も増えてきました。

現役世代・子育て世代の多くは「子育てに役立てたい」と学びに来られている方です。また、早期退職や再就職に意欲を燃やされている方も多くいらっしゃいます。

一貫して言えるのは、「働くお母さんたちを助けたい」「保育士さんをサポートしたい」「社会のお役に立ちたい」「子どもたちの力になりたい」等、みなさん素晴らしい志で参加される方ばかりです。

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(写真提供:株式会社BOA)

グランドシッター講座に参加された方の声

■次の世代を担う子どもたちの力になりたい、自分の得たものや経験を引き継いでもらいたと考えて参加しました。

■定年退職を迎えましたが、まだまだ世の中に必要な人間でありたいと常に思っていました。グランドシッターは社会に貢献できる仕事だと感じています。

■楽しいばかりではなく苦労も多いだろうけど、それ以上に素敵な仕事だと感じました。保育の仕事をされている方に敬意を持ちながら頑張ってみたい。

グランドシッターのお仕事に向いている人はどんな人でしょう?
どんな方でも「やる気があって前向きな人」であれば大丈夫です。それから、謙虚な心を持っていること大切。もしも謙虚でないのなら、これから謙虚になれば大丈夫です。

定年世代は人生経験が豊富な方たちですので、一般常識や社会経験はお持ちです。具体的に保育園はどんなところで子供にはどう対応すれば良いのか、保育士さんのサポート方法などを学んでいただき、あとは実践するのみですね。

あともうひとつ、叱られてもめげない人です(笑)。

保育現場はマニュアルどおりではありません。保育士さんの指示を受け、叱られても落ち込んだり怒ったりせず、明るく前向きに取り組める人ですね。

なるほど、年配の方は「叱られてもめげない」が一番難しそう。
確かに、みなさん普段は叱られ慣れてないですものね(笑)。

でも、前向きでやる気があり、しっかり人生経験を積んできた方は、そんなクヨクヨしません。若い保育士さんたちのサポート、保育補助に徹するグランドシッターの素敵な姿をぜひ見てもらいたいですね。

実際に「会社員時代よりもやりがいがあって充実している」「毎日が楽しくて今の自分が一番好き」などの声をたくさんいただいていますよ。

保育の現場で働くグランドシッターの声

■40年間勤め上げた金融機関を定年退職。地域貢献したいと考えていたところ「グランドシッター養成講座」を見つけて気軽な気持ちで参加。仕事内容に魅力を感じ、紹介を受けて保育園で保育士さんのサポートとして仕事させてもらっています。保育士さんたちには、子どもの一番近くで保育を第一に頑張って欲しいと考えています。私たちグランドシッターは人手不足の保育現場で、やらなければならない雑用や用事などを引き受け、保育士さんを本来の保育の仕事に専念させてあげられる役割を担っていると思います。保育補助として、子育てをサポートできるこの仕事にとてもやりがいを感じています。

保育現場の保育士からの声

■さまざまな経験があり、どの分野においても頼りになる存在です。子どもたちの様子を見て、臨機応変に対応できるグランドシッターさんの存在感は、日に日に高くなっています。きちんと叱ってくれたり褒めてくれたり、子どもたちの喜びや成長にもつながります。私たちも助かるし勉強にもなり、本当に貴重な人材です。

武市海里代表の「次世代育成支援」への思いと取り組み

グランドシッター養成講座をはじめたきっかけは何でしょう?
57歳で起業してから、働く女性の支援や人材育成、キャリアコンサルティングを行ってきました。その活動を通し、保育現場の深刻な人手不足の現状を知りました。

国家資格を持つ保育士が保育に専念できていない、現場で疲弊している姿を見聞きし、なんとかしたいと考えていたところ、豊富な経験を持つ定年世代が目に留まったのです。

退職して時間に余裕がある定年世代の方々を養成し、保育の現場でサポート・補助的な役割ができたら素晴らしいだろうと。

そして2015年に日本ワークライフバランスサポート協会を設立し、働く女性の「子育て応援」や「次世代育成支援」をテーマにグランドシッター養成講座もスタートさせました。

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(写真提供:株式会社BOA)

グランドシッターは現在の社会の仕組みに見合った仕事ですね。
グランドシッターは「保育士の負担を軽減したい」「保育士の社会的地位をあげたい」という思いから生まれたお仕事になります。

それと同時に、定年世代・シニア世代のやりがいある仕事を創出したいという目的も兼ねています。

保育士を影から支えながら、次世代を担う子どもたちにパワーをもらえる素晴らしい仕事だと思います。

人生100年時代超高齢化社会を迎えて「定年退職後の生活を真剣に考えたい」と思いつつも悩んでいる方、定年後の選択肢にグランドシッターを加えてみてくださいね。




「グランドシッター®」「グランパ・シッター®」「グランマ・シッター®」は一般社団法人 Jサポート協会の登録商標です。

(取材・文章:ライター たなべりえ)

グランドシッター8
(写真提供:株式会社BOA)

この記事の取材協力先

株式会社BOA

http://boanet.jp/

一般社団法人 日本ワークライフバランスサポート協会

http://jwlb.or.jp/

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